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BL小説「虜」
混血の子供
沙樹薬誕生から、四十年あまりが過ぎた。

この頃になると、ノワールの働きのおかげか不正な薬の取引も年々、減ってきた。




そんな中、現在のリーフ王は、自分の乳母をしていたアリアという老婆が病の為、他界したという知らせを受けた。


アリアが病に倒れていたという事を知らなかった王は突然の死去の知らせに、深く悲しんだ。



すぐに王はアリアの埋葬された墓がある村へと、出向く支度を整えた。


アリアは10年前に、亡き夫の故郷に移り住んでいた。







元々、アリアは没落貴族の娘であった。


だが、領地もない位があるだけの貧乏貴族。



そこで、行儀見習いという名目で、城へと奉公にあがった。



幸運な事に、アリアを当時の王妃が気に入り、アリアは侍女となった。


その後、城の下働きだった夫となる男と出会って、結婚した。

そして、アリアに子供が生まれた時、王妃は後に王となる子供の乳母にアリアを指名したのだった。









王が数人の騎士を連れて、村まで来ると、事前に知らせを受けていた村の村長は緊張した面持ちで、王を出迎えた。




王は村長と話をした後、村の西の丘にある墓地へと足を向けた。







だが、そこには思わぬ先客が居た。



ある墓の前で、涙を堪えている一人の子供。



その墓は、アリアの墓だった。




王は、この子供はアリアの身内だろうか?と思いながら、気付かれないように、少し近づいた。





だが、子供の容姿が判別できる位置まで来て、少なからず王は驚いた。





何故なら、その子供はリーフで、一般的な金髪にブルーの瞳ではなく、綺麗な銀髪とグレーの瞳をしていた。





明らかに、他国の血が入った子供。




薬の取引により、他民族が滞在するリーフの城下町ならいざ知らず、こんな田舎に、混血児が居る事に、疑問が生まれる。



それに、思えば王はアリアから、子供の身内が居るとは、一言も聞いた事がなかった。


今、墓の前で涙を堪えている子供は何者だろう?。


その疑問を解決すべく、王は墓参りを今度にする事にして、城へ戻ることにした。



戻っていった。





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あきゅろす。
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