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BL小説「虜」
〜認めてはいけない気持ち〜
水辺へ足を向ける度に、またあの笑みを見れるかと、そう期待する自分にゼルフィードは、呆れた。


自分が誰かを愛する事も、愛される事も許されないと、ゼルフィードは、そう考えて生きてきた。

それは普通の15才の少年が考える事ではない。


だが、両親から受けてきた精神的な虐待の数々が、ゼルフィードをそういう考えにさせていた。


ゼルフィードは、怖かった。

自分が誰かに恋をして、その誰かを愛したら、その先にある未来が、どうなるか想像が出来ないでいた。

好色帝と影で、そう揶揄された祖父帝。

外見が祖父帝と瓜二つのゼルフィードは自分も、祖父帝のように、色に溺れてしまうのではないか?という考えが頭にあった。


だから、自分のような者には、愛など不要。


今までは、自戒してきた。




だが、今のゼルフィードは、自らが決めたその誓いを破りかけていた。


あの笑みを見てから、惹かれている自分が居る事をゼルフィードは感じていた。


全てを包み込むような慈愛の笑みが胸を貫いた。




だが、すぐにゼルフィードは、それを認めてはいけないと、胸に込み上げる感情を殺した。


自分の歩く道。

それは、茨の道。


愛し、愛されるなんて、自分には、無理なのだ。と、自分に言い聞かせる。

数多の人を導く為に、ゼルフィードは私情を捨ててきた。


そうしなければ、自分を保てないから、そこには、精神的に不安定な少年が居る。


絶望の対義語は希望。


だが、ゼルフィードは絶望を知らない。

だから、ゼルフィードには希望がない。




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