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BL小説「虜」
2
突如、突き放す様に、冷たくそういう返した皇帝へ。


「ならば、父上は何故、その方を側に置かれないのですか?」
と、毅然とした態度で、アリファエルは聞いた。


すると、一瞬だけ悲しげな表情を浮かべた皇帝は。
「死んだ者をどうして、側に置ける?…そんな事は、出来る筈がない」
と、静かに答えた。


一瞬とはいえ、初めて見る悲しげな顔に、アリファエルは聞いてはいけない事を聞いたのだと、感じ。
「…余計な事を聞いてしまい申し訳ありませんでした。私はこれで、失礼致します」
そう退室の意思を告げた。

「アリファエル。そなたが気にする必要はない」


その声は、先程の悲しげな表情が、嘘の様な平淡な声だった。


その時、アリファエルはガーメイル皇帝の凄さを改めて実感した。


あまり、私情を表さず、常に民の事を優先し、冷静さを保ちつづける、その姿勢を見習わなければと、この時のアリファエルは思った。





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