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BL小説「虜」
〜名前無き皇子〜
この国ガーメイルでは、誰も、皇太子を名では呼ばず、『皇太子』または『殿下』としか呼び掛けない。


皇子は皇太子という地位にある前からも、『皇子』としか呼ばれた事がない。



勿論、彼にもきちんとした名がある。


しかし、彼がその名で呼ばれる事はない。


皆が、彼の名を呼べない理由



それは、当時の皇帝、つまりは皇太子の父親が発したある言葉。




不仲であった皇妃が産んだ子であり、自分に似ず、成長するにつれて、先帝に似た我が子を皇帝は嫌っていた。


しかも、子供の名前を皇帝に名付けさせず、勝手に決めた為に、皇帝は激怒した。


だが、皇帝は名前を勝手につけたと言うが、生まれてから、数ヶ月の間、一度も会いに来なかったのは、皇帝の方なのだ。
だから、生まれた子に、名前がない状態は、良くないからと、先帝が皇子の名付けをした。


不仲な妻が産み、憎い父帝が名付けた名を皇帝は聞きたくなかった。

故に。

『我は、‘アレ’の名など聞きたくも無い!今後、我の前で‘アレ’の名を口にした者は厳罰に処することとする!!』


となり、ついには。



『‘アレ’の名を今後一切、誰も口にしてはならぬ!!口にした者は誰であろうと厳罰に処することとする!!』


と、言った。



以降、ガーメイル帝国皇太子の名を口にする存在が国内に、居なくなった。




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あきゅろす。
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