BL小説「虜」
〜予言〜
フィルデガルドが星を眺めていた頃。
バルカの長にして、フィルデガルドの祖父でもあるエキウスは、自室にて、自らが占った内容を前に、深いため息を吐き出し。
「やはり、何度、占った所で、結果は変わらぬか。歴代最高のセルネスが紡いだ予言、決して覆らぬ未来」
と、呟く。
その顔には深い悲しみが浮かんでいた。
エキウスが占っていたのは、フィルデガルドの事。
机に散らばる札が示すは出会い。
「もはや、避けられぬな」
フィルデガルドの母ユリエスは、歴代最高のセルネスとの呼び声が高かった人物だった。
彼は、死の間際。
幾つかの予言を残した。
その一つに。
「愛しき我が子は、愛の為に死ぬ。15の歳に、運命は動き出す」
という予言があった。
フィルデガルドは、もう少しで、15になる。
「私は、長として生きてきた。だから、頭では理解している。しかし…、愛しい存在の死が宣告されているのに、足掻かぬ者は居ない。私とて例外ではなかった訳だな」
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