小説「召喚と召還の結末」
3
バルは舌打ちしながら言う。
「お前なぁ。それ、分かってやってんだろ?いい加減にしろや」
だが、リーアはフンッと鼻を鳴らし。
「まったく、名前ごときで煩い奴だ、器の小さい男と笑われるぞ」
と、珍しく苛立ちという感情を覗かせた声音で言った。
普段は、何があっても冷静沈着なリーア。
そんなリーアが見せた久しぶりの苛立ちに、バルは、先程の不快感を忘れて、楽しくなってきた。
「オイオイ、リーアよぉ。お前から喧嘩売って来るなんて、珍しいじゃねぇの」
「私は貴様に何かを売った気は無い」
素気なく、そう言い放ったリーアヘバルは、言った。
「普段のお前なら、もっと冷淡な態度を貫くはずだぜ?一体、何がお前を苛立たせたんだよ?」
これには、言外に「この国の誰が、お前の逆鱗に触れた?」と含まれていた。
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