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ハルノヒザシ
6.(藤堂視点)
「……っっ!!」
…でも、一瞬早く三好君が僕の左手ごと鉛筆を薙ぎ払い、阻止されてしまった。
キッと僕を見た三好君の瞳が怒りで鋭くなる。片手で胸倉を掴まれた。
「ふざけた真似やめろって言っただろうが!」
「はぁ…でも…、僕もう我慢できない…」
「っち、このド変態」
「ねえ、三好君、首だけ絞めてぇ。お願いぃ」
「いやだ。顔洗ってこい」
「じゃあ、おなか殴って…。そしたらトイレで抜いてくるから…」
三好君は虫でも見るかのような目つきで僕を見て、手を離した。僕は椅子に崩れ落ちる。
ああ、その目。できるよね。できるよね。できるよね。三好君、君だったら。わかってるんだから。僕。だから期待しちゃうのが止められない。変わってしまったんだったら、我慢してるんだったら、そんな我慢吹き飛ぶまで僕と一緒にいてよ…。ああ、だから僕は君といたいんだ。今は…。
思い切り興奮してしまった僕は、机の上に突っ伏した。ああ、ゾクゾクが止まらない。
はあはあ、と喘ぎながら僕は三好君に話しかける。
「ん、じゃ、せめて…抱いて…犯して…」
「嫌だ。なんでそっちのほうがハードル低いみたいな言い方してんだバカ」
「だって、普通、でしょ……そっちの方が…」
「なんだよ、それ。ばっかじゃねーの。お前…」
三好君は本当に嫌そうに首を振った。それでも立ち去ろうとはしない。
「何もしなくていいのに…僕するのに…。なあに…もう抱きたい、相手でも、いるの…」
「うるせぇよ…。辛いんだったら薬飲めば…?」
「ん、そうだね…出して、くれる?」
三好君が鞄の中から薬と水を出してくれた。ゆっくりと気分が落ち着いてくるのがわかる。
「眠くなるだろ。戻るぞ」
「うん……ありがと…」
ふらふらする僕の鞄を持って、三好君がゆっくりと歩き始めるのを、僕は朧げな足取りで追った。

「ふう…おや、すみ…三好君」
「ああ、おやすみ。ちゃんと飯食えよ」
三好君は今日も僕と一緒にいてくれた。
嬉しかったよ、僕が寝るまで待っていてくれて。
明日からの土日は、何して過ごそう…。

一緒にいてくれるよね、三好君。


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