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ハルノヒザシ

「おーいいんじゃねぇの」
「さっそくみんなで読んでみっか」
その日の放課後。
台本係がはりきってくれたお陰で早くも台本が出来上がり、劇の役がついてる人と声役の人が居残って台本をさっそく読んでみることになった。
「はいじゃあ三好まず前に出て。昔むかしあるところに…」
箒を持たされ、教壇に一人立たされる三好。どうしていいかわからずぼさっと立っている姿はとてもシュールだけど面白い。
「演じてる奴と声出してるやつのテンションが全く違うのも面白いかもな。シュールを追及しよう」
「おっけー俺めっちゃふざけるわ」
「シンデレラの服だけめっちゃ豪華にしようぜ。男の役とか制服でいいよ制服で。他はワンピース適当に買ってきてさ」
「カボチャの馬車とか騎馬戦みたいにすりゃよくね?」
「知ってた。シンデレラって意外と残酷な話なんだぜ」
「ガラスの靴どーすんの。ローファーでいいか」
台本を読み進めて行くにつれて活発な意見が飛ぶ。 いかにインパクトを出すかが、文化祭の肝らしい。
「っし。こんなところか。んじゃ明日までに印刷してくるから。大道具と衣装係りは今いった感じで各自ぼちぼち買い出しよろしく」
「了解〜!!」
文化祭実行委員の言葉によい返事を返すみんな。
大まかには演劇の役者と裏方、そして総指揮件Tシャツパンフレット等を作る三チームにクラスは別れている。
土日しか買い出しに行けないので大分早くから準備を始めるらしい。
「予算は多少オーバーするつもりで行くぞ。物販で取り返す!!」
ってことで金使った奴は領収書持って俺のとこまでな。
文化祭実行委員が白い封筒を持ってそう言ったので俺はこの間の望月先輩達と買った服の材料の領収書を見せた。
ついでに家庭科室の使用許可も申請してもらうことにする。
よーし。これで本格的に衣装作りが始められるぞ!!
「んじゃ解散!!頑張ろうな!!」
「おー!!」
クラスの雰囲気もまとまっていていい空気。
「じゃ三好。帰ろっか」
「おう」
何故か最後まで箒を持ったまんまだった三好は、立ち上がり箒を片付けに行ったのだった。


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