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ハルノヒザシ
文化祭まで二週間
その数日後。
土日を挟んで登校すると、下駄箱前の掲示板に人だかりができていた。
普段テスト結果とかが張り出されているその場所。
一体何なんだろうと俺も覗きに行ってみる。
えーっと狭城ベストカップル…エントリー開始…文化祭実行委員会…。
あ、なるほどなるほど。文化祭までにここに設置された投票箱に投票して上位六組が文化祭本番の本線に出場する訳ね。 一人一票。いいと思う人を書いて投票する訳だ。もしくは自分が一緒に出場したい人。
ふむふむ。こんな大々的にやるんだ。こりゃ面白そうだ。俺もどこかに一票投じよう。また望月先輩とか凛先輩とか。
そんなことを思いながらビリっと一枚投票用紙を破ると、横から誰かの手が出てきて紙をひったくられた。
「え…?」
びっくりしてその人を見上げると、出た…いつの間に横にいたんだ。
視線の先にはよーく知ってる人が俺の投票用紙を握りしめて立っていた。
「なつ…お前どっから出てきたんだ…」
「兄貴と俺のエンカウント率は常時非常に高い設定だよ」
ニヤリと笑う半袖シャツ姿の夏。お前は敵モンスターか。
「もちろん兄貴が投票するのは、俺と兄貴のカップルだよね。俺が書いてあげる」
「わ、やめろよ!!俺は望月先輩達に投票すんの!!」
取り替えそうとするが夏相手にそれは不可能に近い。
「前田春日…と。よしこれで二票。何票集めりゃいけんのかな」
優勝目指して頑張ろうね、兄貴のメイド服姿見てみたいな、と俺の投票用紙を勝手に書いて爽やかにメイド服とか笑われても困る。ここで見逃すとどんな手を使ってでも票をかき集めて来そうだし。
「俺はいやだ。夏出たいなら来海ちゃんと出なよ」
「絶対ーやだ。俺兄貴とちゅーしたいもん」
「もー外で変なこと言うのやめて!!」
とにかく俺はこういうの出たくないから、票を集めるのはやめてくれと、頼むと夏は「だって」と不満そうに唇を尖らせた。
「兄貴は俺の兄貴だって宣言したいんだもん。なんか兄貴狙ってる人けっこー居そうだから」
「そんなもん居ないよ…頼むから変な裏工作とかしないでよ」
人前に出るのは劇だけで沢山だ。
その用紙返して、と夏に言うとしっかりボールペンで記入されてる投票用紙が返ってきた。
くっ…さすが夏…。
「あ、やべ時間だ。じゃあそれ投票しといてね」
よろしくーと予鈴と同時に夏が中学棟へと走り去っていく。
「やばごめん三好。走ろう」
「うん。漫才面白かったよ」
「違う!」

今日から通常授業開始だ。


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