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ハルノヒザシ

「んじゃシンデレラが三好と言うことは王子様は前田しかいねーな」
と勝手に俺の名前を王子様役のところに書く文化祭実行委員。
もちろん俺は逆らわない。三好がシンデレラやってくれるなら俺だって人前に出たくないけどそれくらいはやらないと…。
シンデレラ役が決まったことで、他の役もあっという間に決まり、無事に文化祭に向けての第一歩を踏み出した我がクラス。
俺は王子様役以外にも服飾担当を任され、夏中考えてきたアイデアを思う存分発揮するつもりだ。
「オッケー。じゃあ台本上がり次第チョロチョロ練習始めようぜ!!やるからには最優秀クラス目指すぞ!!」
おー!!とノリがいい我がクラス諸君。
最優秀クラスには毎年商品券が配られるらしくみんなやる気満々だ。
「ごめん…三好。実は企んでたんだ」
「ん…別にいいよ。なんとも思ってない」
三好の方を振り返り、夏中黙ってこそこそ計画に加担していたことを謝ると、いつもの無表情に戻った三好は軽く首を振る。
「別に今さらどう思われようといいしな。クラスのみんながいいっつうんならいいさ。俺別に緊張とかする人間じゃないし」
それより前田の方がやばいんじゃねーの。 この間の音楽のリコーダーのテスト脚ガクガクでちっとも吹けてなかったじゃん。
そう言って三好は軽く笑ってさえくれる。
三好、みんなのために受けてくれたんだね。
八割くらい断られるだろうと内心思っていた俺は、三好のみんなを思う心を利用したようで心苦しさもあったが、やっぱり嬉しかった。
(この劇でみんなもっと三好のこと好きになるよ)
友達一人もできない人間なんだ、とか寂しいこときっともう言わなくなるよ。

三好は、優しい人だから。

「本番脚ガクガクで動けなくなったら助けてね」
「逆だろ。それ。前田の方がお姫さまって感じなのにな。俺の嫁に来るんだし」
「残念ながらお嫁さんに相応しいのは三好だったみたいだね」
「俺が?卵焼きもまともに作れないのに!?」
「目玉焼きは作れるようになったじゃない」
「4ヶ月かかってようやくな」
そう言って俺達のクラスのお姫さまは照れくさそうに笑った。


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あきゅろす。
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