ハルノヒザシ 5 お爺さんへの挨拶が住んだ後、七回忌に出席する人々で、さっそくお墓参りに行くことになった。 何年振りで行く父さんの墓。 七回忌だから人数は少なくて、お爺さんと叔父さん一家とお爺さんの秘書の人、そして近所の親戚の人が数人。 真夏の炎天下の中で全員真っ黒な喪服姿で。 車を降りた後も誰も話さない物々しい雰囲気で。 鳴り響く蝉の大合唱の下を敷き詰められた玉砂利を踏んで進んでいく。 墓地の中でも一番立派で目につく位置にそびえる前田家の墓。 その墓石の最後に刻まれた父さんの名前は、まだ新しい。 (父さん。また来ることかできたよ) 前に来たときより俺達、大分大きくなったでしょう。色んなことがあったけど、俺も夏も元気だよ。そしてきっと母さんも。 お坊さんが読経をする間目を閉じて、俺は心の中で父さんに語りかける。 (父さん。俺これからも頑張るから。どんなことがあってもちゃんと前を向いて生きていくから。どうか見守っていて) いつか会うとき、父さんに顔向けできるように。 ねえ。父さん。そうしたら。その時は、いつもしてくれたように。頑張ってたね春日って。俺の頭を撫でてくれますか。 しばらくたって読経が終わって 俺はそっと目を開ける。 墓石越しに見える真っ青な空と白い入道雲が、滲んでゆらゆら揺れていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |