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ハルノヒザシ

グラウンドに立つと、普段のおちゃらけた態度が嘘のようにガラリと空気が入れ替わる彼。
(それだけ、陸上に対して真剣なんだろうな)
何か一つのことにそれほどまでに強く打ち込んだ経験がない俺には、そんな音羽が輝いて見えた。
そして同時に、羨ましくもなる。
やっぱり、スポーツをしてる人はかっこいい。
スポーツ全般が苦手な俺には特にそう思える。
ほとんど自分でやることは諦めているけど
自分の領分ではないとわかっているけど
真剣な姿に惹き込まれるように

「ね、前田「音羽」」

軽い沈黙の後、俺達は同時に口を開いた。
用件は、決まってる。

「一本、走ろうか」

茜さすグラウンド。
夕陽に染まる音羽の顔。
伸びてくる影。
軽く準備体操をしながら吸い込む空気は、埃と砂のにおいがした。
体操を終えて顔を上げると、まっすぐに俺を見つめる音羽と目が合った。
グラウンドの感触を確かめながら、一歩音羽に近いて並ぶと

俺も真っ直ぐ、正面を見た。

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あきゅろす。
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