[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ
2・(夏月視点)というより第三者視点です。
ちょうどその時…。
中等部の剣道部部員である前田夏月と教良木英心の二人は、高等部一階にある三年F組の教室の前に立っていた。
何人もの高校生達が、そんな二人をチラチラ見ているが、二人共全くそんな視線に物怖じすることなく、そのまま堂々と三年F組の教室へと踏み込んでいく。
「たのもー!!」
萩尾主将は居ますかー!と少々芝居がかった口調で言いながら、ずかずかと入っていく英心の後になんだこいつ、と言う表情を浮かべながら続いていく夏月。
なんだかんだと言って夏月自身この春に転校してきたばかりで、下剋上を経験するのは初めてでノリについていけないらしい。
三年F組の教室はそんな二人の乱入者に一瞬静まりかえるが、すぐに二人の目的に気付くと面白そうに二人を見つめ始める。

下剋上が今年も始まった。

二人の姿を見ながら、彼等は夏の訪れを感じているのだ。

「あ、居た」
先を歩いていた英心が、目的の人物を見つけ、すたすたと淀みない足取りで近づき、後一歩を残してその人物の前でピタリと停止する。

「やぁ、お二人さんよく来たね」
一番奥の窓際の席。
にこり、と爽やかな笑みを浮かべながら
今年の高等部剣道部主将
萩尾哲平は軽く二人に手をふった。

[*前へ][次へ#]

9/58ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!