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ハルノヒザシ

「ただいまー、うわ、真っ暗」
ジュースを飲み終え先輩二人と別れた俺は、ようやく自分の部屋へと戻って来た。
リビングのドアを開けると真っ暗で俺は明かりのスイッチに手を伸ばすが、明かりの方でスイッチが切られているらしくつかない。
(確かここら辺だよな…)
暗闇の中で右手を伸ばしつつ、俺は蛍光灯の紐を探す。
とその時
さらり、としたものに左手が触れた。
(ん、何これ?)
テーブルの上にある、それに確かめるようにもう一度触れてみる。
(あ、これ三好の頭だ)
それが、テーブルの上でつっぷして寝ていた三好の頭らしいということに俺が気付いた時
ガバッといきおいよく三好の頭が持ち上がった。
「…ん?何だ」
少しだけ寝ぼけているような、三好の声がする。
「ただいま、三好」
「あ、前田。いんのか?」
暗いな、と呟きながらギッと椅子がひかれ三好が立ち上がる気配がした。
フッと俺口元に何かが触れる。
「あ、前田見っけ」
俺の顔の形をなぞるように、三好の指先が動いた。
「こんな暗いとこで何してんの?」
「あ、電気点けたくて」
「そうか、悪い。俺がヒモで消しちゃったから」
「いや、こっちこそ起こしてごめんね」
「あ、あった」
三好が蛍光灯の紐を探しだし、カチリという音と共に部屋が明るくなる。


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あきゅろす。
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