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ハルノヒザシ

「うっわー盛大に破いたな」
「…ごめんなさい」
夏の部屋に着いた俺は、夏が渡してきた胴着を広げながら思わずため息をつく。
「防具が引っかかって思わず力任せに引っ張ったら、ビリって…」
「なんだそれ。相変わらず馬鹿力だな」
直る?と心配そうに手元を覗き込んでくる夏。
まぁ、でもこれくらいだったらどうにか直るだろ、と言うとホッとしたように笑う。
「よかった。俺だけ交流戦裸で出ることにならなくて」
「交流戦?」
針に糸を通しながら、俺は聞き返す。
「うん。テスト終わると高校生と交流戦があるんだ」
ちなみに運動部は全部あるよ、と夏が説明する。
この学校の伝統行事みたいなものらしい。
ふーん。知らなかったな。俺部活入ってないし。
それにしてもこの学校やけに体育会系だよな…体育祭にしても球技大会にしても。
ちくちくと胴着を縫いながら、そんなことを思う。
「夏は今回何なんだ?」
「俺?俺は副将」
「あれ、大将じゃないんだ」
「うん。教良木のやつにどうしても勝てなくてさ」
おお、夏より強い子いるんだ。夏も相当強いはずなのに。
でも、だからかな。前よりもっと部活が楽しそうなの。
「また見に来てね。俺、勝つから!」
「うん、絶対」
その教良木くんって子にも会いたいし。
こくり、と俺は頷き返す。

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