ハルノヒザシ 7 「うっわー盛大に破いたな」 「…ごめんなさい」 夏の部屋に着いた俺は、夏が渡してきた胴着を広げながら思わずため息をつく。 「防具が引っかかって思わず力任せに引っ張ったら、ビリって…」 「なんだそれ。相変わらず馬鹿力だな」 直る?と心配そうに手元を覗き込んでくる夏。 まぁ、でもこれくらいだったらどうにか直るだろ、と言うとホッとしたように笑う。 「よかった。俺だけ交流戦裸で出ることにならなくて」 「交流戦?」 針に糸を通しながら、俺は聞き返す。 「うん。テスト終わると高校生と交流戦があるんだ」 ちなみに運動部は全部あるよ、と夏が説明する。 この学校の伝統行事みたいなものらしい。 ふーん。知らなかったな。俺部活入ってないし。 それにしてもこの学校やけに体育会系だよな…体育祭にしても球技大会にしても。 ちくちくと胴着を縫いながら、そんなことを思う。 「夏は今回何なんだ?」 「俺?俺は副将」 「あれ、大将じゃないんだ」 「うん。教良木のやつにどうしても勝てなくてさ」 おお、夏より強い子いるんだ。夏も相当強いはずなのに。 でも、だからかな。前よりもっと部活が楽しそうなの。 「また見に来てね。俺、勝つから!」 「うん、絶対」 その教良木くんって子にも会いたいし。 こくり、と俺は頷き返す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |