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ハルノヒザシ

「本当に変わったな、弟くん」
確かに、三好がそう言うのも無理はない。
その写真に写る夏は

くるんとした大きい瞳
やや、色白な小さな顔
艶やかな、おかっぱ頭の髪

と、まぁどう見ても女の子にしか見えないからだ。
今でこそ俺より図体もでかいし、髪も短いし完全に男にしか見えないが
昔は本当に可愛かったからな、夏は。
この写真に残っている今の顔と同じ特徴と言ったら
頬にある傷くらいのものだし。

「ふぅん、髪の毛長かったんだな」
「うん。確か小5の時はもっと長かったよね」
どっかにその写真も無いかなーと俺はペラペラとページをめくる。
「あ、ほらほら」
「本当だ。なんか凝った髪型してんな」
「毎日俺が結んであげてたもん。違う髪型にしてくれなきゃ嫌だって」
だよな、と夏に視線をうつすと、あ、思いっきり拗ねた顔してる。
「もー別にいーじゃん。今はもう短いんだし!」
兄貴に髪いじってもらうの好きだったから伸ばしてたんだよ!
とちょっと赤くなりながら、ヤケになったようにいう夏。
へー、そうだったんだ。確かに髪以外で女の子らしくしてたとこなんか無かったもんな。服装も普通に男の子だったし。
髪型と服装と黒いランドセルが、妙にちぐはぐで、でもなんだか似合ってて
声も高くて、背も俺よりずっと小さくて
今もかもしんないけど、甘えん坊でいっつも俺に付いてきて
「兄ちゃん、兄ちゃん」って呼んでくれたっけ。
懐かしいなぁ。
ついつい思い出にひたってしまう。

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