ハルノヒザシ 3 「本当に変わったな、弟くん」 確かに、三好がそう言うのも無理はない。 その写真に写る夏は くるんとした大きい瞳 やや、色白な小さな顔 艶やかな、おかっぱ頭の髪 と、まぁどう見ても女の子にしか見えないからだ。 今でこそ俺より図体もでかいし、髪も短いし完全に男にしか見えないが 昔は本当に可愛かったからな、夏は。 この写真に残っている今の顔と同じ特徴と言ったら 頬にある傷くらいのものだし。 「ふぅん、髪の毛長かったんだな」 「うん。確か小5の時はもっと長かったよね」 どっかにその写真も無いかなーと俺はペラペラとページをめくる。 「あ、ほらほら」 「本当だ。なんか凝った髪型してんな」 「毎日俺が結んであげてたもん。違う髪型にしてくれなきゃ嫌だって」 だよな、と夏に視線をうつすと、あ、思いっきり拗ねた顔してる。 「もー別にいーじゃん。今はもう短いんだし!」 兄貴に髪いじってもらうの好きだったから伸ばしてたんだよ! とちょっと赤くなりながら、ヤケになったようにいう夏。 へー、そうだったんだ。確かに髪以外で女の子らしくしてたとこなんか無かったもんな。服装も普通に男の子だったし。 髪型と服装と黒いランドセルが、妙にちぐはぐで、でもなんだか似合ってて 声も高くて、背も俺よりずっと小さくて 今もかもしんないけど、甘えん坊でいっつも俺に付いてきて 「兄ちゃん、兄ちゃん」って呼んでくれたっけ。 懐かしいなぁ。 ついつい思い出にひたってしまう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |