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ハルノヒザシ
10

「おー春日ー。久しぶりだなー。何でそんなハァハァ言ってんのキモいよ」
俺が駆け寄るとツナギ姿の男は、ニヤリと笑いながらこっちを向く。

コイツの名前は金沢喜介。
俺の中二からの友達だ。

それにしても相変わらず口が悪い…。
「走ったんだよ!バカ!つーか何でお前ここいるんだよ。俺、昨日メールはしたけど時間なんて言ってないぞ!」
「あー、届け物ついでに一服してただけ。二本吸って来なかったら行こうと思ってた」
ふーっと煙を吐き出しながら喜介が言う。
そうなんだ…。
「久しぶりだなー。全く変わってないけど」
「一ヶ月かそこらでそんな変わるかよ。馬鹿じゃねぇの?お前」
こ、このやろう…!
「んじゃ、顔見れたし、俺行くわ。まだ仕事残ってるし。また明日な。春日」
ギュッと煙草を灰皿に押し込むと言いたいだけ言って、原チャリに乗って去って行ってしまう喜介。
相変わらずマイペースだ。
まぁ、会えて嬉しいけどね。
「兄貴!腹減った!」
俺がぼーっと喜介を見送っていると後ろから怒ったような夏の声。
慌てて振り返るとうわっ、めっちゃ不機嫌そう。
喜介と夏は天敵同士だもんな、まぁ夏が一方的に噛みついてるだけなような気がするけど。

「わかった、わかった。ごめんごめん。ほら行くぞ」
俺はぶすくれた夏の背中を押しながらラーメン屋に向かった。

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あきゅろす。
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