提案(ヒバドク
「じゃあ、こうしようか」
青年は優しい笑みを浮かべながら、彼女にひとつの提案をした。

誓うべきか、誓わざるべきか

「君があの男に懐いているとは前々から知っているよ。だからこそ、こうしないかい?」
綺麗な人差し指を空に向けて立てて、青年は小首を傾げる。
「僕と君が今ここで全力勝負。それに僕が負けたら、君のことは諦めよう」
一方の彼女は困ったような視線を青年に送りつつ、問う。
「全力勝負って……何をするの?」
心なしか、手に握られる三叉槍に込められる力が強まっている。
「なんだって良い。まぁ一番手っ取り早いのは今戦うことだろうけど。どうだい?君は、この賭けに乗るだろう?」
有無を言わせぬ顔で彼女を見つめ、笑う。
「………もしも…、」
彼女が俯きながら、呟く。
「…もしも、私が負けたら……どうなるの?」
ゆっくりと顔をあげ、青年をじっと見つめる。
「簡単なことだよ。ずっと僕の側にいればいいだけだ」
いつもの彼とは想像も付かない優しい笑みでこちらを見つめる。
「さぁ、どうする?」
優しい笑みから、一転。鋭い目でこちらを睨む。
彼女は頭の中では、乗ってはいけない、と思いながらも頷く。
「わかった……」
その瞬間。
雲雀恭弥は心底楽しそうな笑みで、クローム髑髏を見た。
       -fin-
もう二度と、あの男の元になんて戻らせてあげない。

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あきゅろす。
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