天使の羽跡 1 君と過ごした日々は 今でもきらきら輝いていて 僕は生涯 あの素晴らしい一週間を忘れることはないだろう… ---天使の羽跡 「大川ー!!聞いてくれよ!」 社会人になって数年。腐れ縁の男は、未だ学生気分が抜けていない。 「なんだよ、白石。今日も熱いな。ただでさえ暑いのに。」 「まぁまぁ、いいじゃないか!夏は恋の季節だ!大人しく働いてられっか!そうだろ!?」 「…そうだな。」 普段、恋やら愛やらに興味を抱かない僕が同意したことに、白石は間抜けな顔をした。 僕は、白い壁に掛けられている、向日葵が描かれたカレンダーを見遣る。 夏は、恋の季節だ。 毎年この時期になると、僕はあの夏を思い出す。初恋と云う名の奇跡に出会った、あの夏を。 [次へ#] [戻る] |