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impatient


微笑んだようにも見える陽高を見て、紗奈はさらに驚いた。

それに気付いた陽高は、意識的に表情を戻し、紗奈の首筋に顔を埋める。

びくんと体を揺らし硬直させる紗奈に、陽高は溜息を吐いた。


「おい。」

「は…はい。」

「少し力を抜け。」

「…すみません。」


――まさか処女ではあるまい。かまととか?面倒臭い。無駄な演出など邪魔なだけだ。少し快楽を与えてやればすぐに本性を現すだろう――



陽高は、紗奈の首筋を舐め上げながら、ベッドに付いた右腕で自分の体を支え、左手を黒いスカートに隠された大腿に這わせた。


「……っ」


僅かに乱れた紗奈の息遣いを耳元で聞きながら、一人嘲るように笑んだ。


――簡単なものだ――


下着を脱がし、脚を大きく開かせる。

紗奈は恥ずかしそうに、赤く染まった顔を両手で覆いながら、それでも陽高の動向が気になり、指の隙間からちらりと様子を盗み見た。

すると、ちょうど触れられるという時で、綺麗な指が中心を縦になぞると、水音が静かに響いた。


――何?この音。私から出てるの?恥ずかしいよ…――


僅かに瞳が潤む。

もう見ていられなくなった紗奈は、完全に顔を手で覆い隠してしまった。

それに気付いた陽高は、フリではなく本当に純情なのだと理解した。


――面白い――


にやりと上がる口角を隠すように、自身を紗奈の濡れた場所へ宛がった。


「えっ…!?あのっ、そのまま…するんですか…?」

「何がだ。」

「だから…その…つけていただけないのかな…と…。」

「避妊具か?薬が配布されているだろう。」

「くすり…?」


――そういえば、働き始めたのは今日からと言っていたな。仕方ない…今日だけは付けてやるか――


「後ろを向いて四つん這いになれ。」

「はい…。」


捧げられた尻をさらりと撫でる。

ごく僅かな間の後、ぐっと自身を押し付けた瞬間、戸惑って赤くしていた紗奈の顔が一変、真っ青になった。


――暗い自分の部屋。廊下から細く漏れる明かり。近付く人影。酒臭い息。いやらしく笑う、あの、男…………――



陽高から顔は見えないが、徐々に震え始めた体に気付き、声を掛けようとした時…。


「いやああああぁぁーっ!!!」


場を切り裂く突然の叫び声。


「な…、どうした?お前…。」

「あ…、嫌…イヤ…ごめんなさい……助けて……ごめんなさい…ごめんなさい…。」

「おい、落ち着け…」

「も…許…て…っご、め…なさっ…、…と…さっ」


徐々に短くなる息の間隔。

「おい……。」

声を掛けても反応せず、上擦りながら謝り続けるだけ。


「紗奈!」


過呼吸になりかけている紗奈を見た陽高は、とっさにキスという手段を用いて救助した。

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あきゅろす。
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