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impatient

――いつからこんなにも愛してしまっていたのか…

思い返せば、出逢った時には既に恋に落ちていた――






「初めまして。よろしくお願いします。」

「紗奈ちゃん、でいいかな?私は亜希。よろしくねぇ。」


初出勤で緊張気味の紗奈に、笑顔で自己紹介をする亜希。

メイドの中で一番若かった亜希は、可愛い後輩ができたことを嬉しく思った。


「紗奈ちゃんの仕事は主に掃除。二階の廊下と空いてる部屋をお願いしまぁす。広くて大変だけどよろしくねぇ。メイド長がね、慣れるまで他の仕事はいいから丁寧にやって下さい、って。じゃあ、やり方教えるねぇ。」

「はい。」


亜希は大体の事を教えると、他にやる事があるからと言って一階に下りて行った。

そして勤務時間が終わる頃。


「おつかれ〜。終わりそう?」

「はい、もう少しです。思ったよりも大変で…。」

「そうよねぇ。じゃあ終わったら休憩室まで来て。まだ教えてないことあるから。」

「はい、わかりました。」


紗奈は返事をしつつも、今日は掃除だけではなかったのかと、小さく息を吐いた。


「あ、そうそう。」

「は、はい。」


慌てて取り繕う紗奈だが、亜希は何も気付いていないようで、表情を変えず続ける。


「シャワー浴びてから、もう一回制服着て来てくれる?一階の大浴場わかるよね?今日はこの時間なら使って大丈夫だから。」

「はい…。」


よくわからない指示に紗奈は内心首を傾げつつ、亜希が背を向けたのを確認してから自分の匂いを嗅いでみた。

誰もいない広い浴場で全身を洗ってから、再び同じ服に身を包み、亜希が待っているであろう休憩室に向かう。


「あの、亜希先輩。」

「ん?あ、紗奈ちゃん。てゆーか先輩って、なんか慣れないなぁ。うーん…。さん付けにしてみて?」

「すみません。亜希…さん?」

「あ、それいいわぁ。でね、早速本題入るんだけどぉ。」


亜希は、自分が座っている、テーブルを挟んで反対側の椅子を、紗奈に勧めた。

紗奈が座ると、亜希は声のトーンを少しだけ落とし、真面目な顔で身を乗り出した。


「紗奈ちゃんって、処女?」

「!!?」


突然の台詞に、紗奈は自分の耳を疑うが、亜希があまりに真剣な表情なので、聞き返すこともできなかった。


「違います…けど…。」


ぼそぼそと告白すると、亜希は安堵の息を吐いて、椅子の背もたれに寄り掛かった。

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