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impatient


「紗奈…そろそろ出る…。」

「んん…。」


顎が疲れ始めてきた頃、陽高様はそう言って私の手を握った。

見上げると切なげに歪められた瞳と目が合って、直後、口内が何かでいっぱいになっていくのを感じる。

…もう全部出終わったかな。口離していいのかな。

目で問い掛けると、わかってくれたようで、答えを教えてくれた。


「ああ、もう大丈夫だよ。」

「ん、く…。」

「ほら、ここに出せ。」


陽高様は枕元にあるティッシュ箱から何枚か抜き取って広げてくれたけれど、それは既に飲み込んだ後。


「紗奈…?」

「けほっ…」

「飲んだのか!?」


喉に引っ掛かる感覚がして咳込むと、陽高様はサイドテーブルに置いてある水の入った瓶をグラスに傾けて私に渡した。


「まずかっただろうに。」

「苦かったですけど、陽高様のなら嫌じゃありません。」

「ありがとう…紗奈。とても良かったよ。」


ぎゅっと抱きしめられて唇にキスをもらった。

陽高様を初めてイかせられたこと、良かったと褒められたこと、キスしてくれたことも全部嬉しくて、私は大満足で陽高様の胸に抱き着いた。

陽高様は私の髪に顔を付けて、しばらくそのまま抱きしめていてくれたけれど、少しして、スカート越しにお尻を撫でる手を感じた。


「…陽高様?」

「今度こそ俺が紗奈を感じさせる番だろう?」


首筋に触れる唇と、胸を包む掌。

このまま流れに身を任せようとした時、私はあることを思い出した。


「待って下さいっ!」

「…今日何度目だ?」

「ごめんなさい。あの、でも、私…に、させて、欲しいんですけど…。…その…最後まで。」


熱くなる頬と、目を丸くした陽高様の視線を感じながら、それでも私は最後まで言い切った。


「だめ、ですか?」

「いや…駄目ではないが。」


じっと目を見つめながら、まだ小さくならない陽高様自身に手を添えると、それはピクンと振れた。

私は落ちてくる髪を耳にかけ、握ったモノを再度口へ迎え入れようとした。


「…待て。」


しかし直前で止められる。

陽高様は怪訝そうな顔でこう言った。


「何故今日はそんなに積極的なんだ?」

「積極的なのは嫌いですか?」

「嫌いではない。が、俺の聞いている事に答えろ。」


目を逸らそうとすれば、顎を持ち上げられ、無理矢理視線を合わせられた。

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