impatient
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言えないわけではないけれど、言うのも少し躊躇ってしまう。
こんな事をそんな理由でしたと知ったら、嫌だと思われないかな…。
でも陽高様は変に思っているみたいだし、ごまかしは通用しない雰囲気。
「今日が何の日だか覚えてますか?」
「今日、か?」
「私が初めてここに来た日。陽高様と初めて出会った日です。」
「ああ…。」
「本当は、何か差し上げようと思ってたんですけど、お買い物に行く機会がなくて。…プレゼントのつもりだったんです。」
「そうだったのか。」
「だから…受け取って下さい。」
私は一瞬だけ制服の前掛けをぎゅっと握ってから、覚悟を決め、モノトーンのワンピースを脱ぎ捨てた。
恥ずかしかったけれど、その下が、本当のプレゼントだから。
亜希さんにラッピングしてもらった、私自身。
これを着た時は覚悟していたはずなのに、まじまじと見つめられてはやっぱり恥ずかしくて、私は両手で自分の体を隠した。
「あ、あの…あんまり見ないで欲しいんですけど…。」
「何故?俺のために着てくれたのだろう?」
「う…。」
それはそうだけど…やっぱり恥ずかしい!
私がメイド服の下に着用していたのは、亜希さんオススメのベビードール。
陽高様も鼻血ものよ、とごり押しされて、思わず乗ってしまった。
「紗奈は何でも似合うな。とても綺麗だ。」
真面目に言われると、体が余計に縮こまる。
「隠すな。俺にくれるんだろう?」
「はい…。」
この姿を隠しきれていない両手を徐々に退けて、照れ隠しに抱き着いたものの、勢い余って陽高様を押し倒してしまった。
「今日の紗奈は予測不可能だな。」
陽高様はクスッと笑って私の背中に腕を回す。
煩い程の鼓動が、絶対に伝わっているはずだ。
「俺も紗奈を感じさせたいのだが。」
「だめ、です。今日は私がするんです。」
「そうか…残念だな。」
と言っているそばから、陽高様は耳を甘噛みしたり舐めたりして、私を感じさせようとする。
「やっ…、だめ……っ。」
「じゃあ…。」
陽高様は私の耳を弄ぶのを止め、息の上がった私に提案してきた。
「俺が紗奈を愛撫している間、紗奈も俺にしていればいい。」
「それって…?」
「これなら紗奈もできるから良いだろう?」
「はい…。」
よくわからないけれど、それなら私だけが貰うわけではないからいいよね。
こくんと頷くと、陽高様は楽しそうな笑みを浮かべてベッドの中央に仰向けに寝転がった。
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