[携帯モード] [URL送信]

impatient

「んん…」

沈めるだけで漏れてしまう声。

私に動けと言うのだろうと思い、だったら少しだけ休憩しようと一息吐くと、予想外にも陽高様は勢いよく突き動かし始めた。


「ぁああっ!ひ、陽高さまぁ…待っ……!」

「悪いな…。本当に加減が効かない…っ。」

「激し、です…っ」

「激しい方が好きだろう?」

「そんな…ぁ!」

「好きにしろと言ったのは、誰だ?」

「ゃ、もう、おかしくなっちゃう…!」


何も考えられないくらい気持ち良いのに、不意にその快楽が怖くなった。

どこか別の次元に放り出されてしまいそうな、自分が自分でなくなってしまうような。


「陽高様っ陽高様…っ!」


必死に名前を呼んでしがみつくと、陽高様は体を密着させて、私の名前を何度も囁いた。


「紗奈…紗奈、大丈夫だ…。」


そう言って軽いキスを顔中にしながらも、動きは止めないのだから、ただ喘ぐことしか出来ない。

お互いに限界が近くなってくると、陽高様は繋がったまま私の体を寝かせて、激しく奥を突き上げてきた。


「きゃぁっあ、あっあっあぁ…!!」

「…っ…はっ…」

「ひだ…か、さま…っイッちゃっイッちゃう…!ゃ、あ、…ひゃあぁあああっ………」


全身に電撃が走って、数回体をビクつかせた後、ガクンと体中の力が抜けた。

陽高様も倒れるように私に覆いかぶさってきたけれど、指先さえも動かせない。動かす気力もない。

こんなに息の荒い陽高様を初めて見た。いつもより断然速い鼓動が重なる胸板から伝わってくる。


そのまま暫く、二人無言の時間が続き、陽高様が私の中から出ていく頃、ようやく体を動かそうと思えた。


「やはり体力は落ちるな…。」

「あ…陽高様、風邪引かれてるのに…ごめんなさい…。」

「紗奈が謝る必要はない。俺が抱きたかったんだから。…それより、移っていなければいいが。」


微熱の手の平が、私の額に触れる。

…さすがにまだ熱は出ないと思う。





けれど後日、案の定風邪を引いた私は、陽高様の手厚い看病を受けることとなった。

お粥を作って食べさせてくれたり、冷えタオルを換えてくれたり、本当に至れり尽くせりなのだけれど、…体を拭くのは自分でしたい。



---Fin
2009/02/06


[*前へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!