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impatient


さすがに夕方2時間も仮眠をとると、すっきりしている。

入浴後、日課の読書をし、今日はページが進むなと考える。


そこへ、あのメイドの声。

そんな時間か、と入室を許可する。

現れたのは、制服ではなく、寝間着に替えた姿だった。


昼間からあれだけ側にいて、何も応答せずにいたのだ。さすがに露骨に走ったか、と思わず苦笑いが出る。

彼女を抱くことは問題ないのだが、初めての女の勝手を調べる気が今はない。

よく知っている相手と気楽にしたい気分だった。

一番よく知っている相手といえば…。


「亜希を呼べ。」
「え。亜希さん……ですか?」


視線で肯定すると、目をぱちくりさせたメイドは、不思議そうに返事をしながらベッドサイドの内線をとる。


――おいおい、まさかだろう。――


「そうではなくて。」

予想外の行為に驚き、思わず受話器にかかる手を掴んだ。


「呼んできて欲しい。……話がある。」
「あっ、ごめんなさい!」


そこまで告げて、自分が交代されることに、ようやく気付いたようだ。

鈍感なのか、強欲なのか。




彼女が出て行きしばらく経ってから、メイド服姿の亜希は来た。

「お待たせしました。」
「遅かったな。もう休んでいたのか?」
「あ、はい……。」

亜希はベッド上の俺と話すのに十分な距離まで近づくが、そこから進もうとはしない。

「あの、それで……?」
「? ああ。話というのは、あれを遠ざけるためだ。」
「あれって……。」


動かない亜希に痺れを切らし、身を乗り出して腕を掴む。

短く声を上げる体を自分の上に倒した。


「今日はあまり動きたくない。手間をかけさせるな。」
「え?え?あの……?」


ここまでしても、なお動かない。
困惑顔で眉を寄せるだけだ。

亜希まで鈍くなったのか?


溜息を吐き、しかたなく自分が上になる。


「ひ、陽高様!?」
「服くらい自分で脱げるだろう?」


両側に手をついて囲めば、今までないくらいに目を見開いて、先程と同じように狼狽えながら、守るように腕を構える。

僅かに怪訝に思いつつ制服に手を伸ばすと


「やめてください!!」

声と共に胸板を押される。

亜希自身、思ったより大きな声が出たのか、はっとして口元を押さえた。


さすがにそこまで拒まれては、やる気も失せるが、拒否されたことがないだけに、何故と疑問符が飛び交う。

「どうした。」
「このことは誰にも言いませんから……。」


うつむいたまま、それだけを言うと、足早に離れる。

呆然とする俺を残し、扉は静かに閉められた。

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あきゅろす。
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