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花泥棒と龍の笛5
それから僅かに二時間の後、躯の元へ奇妙な浮遊物が届いた。
「…あのクソ邪眼師、狐とばっくれやがった」
大きな葉を羽根代わりにして空中を漂ってきた植物にぶら下がっていたのは、草で編まれた巨大な籠だった。
溢れる芳香で、確認せずとも中身は知れている。
口調とは裏腹に愉快そうな表情を浮かべた躯は、手近にいた部下を呼び寄せると言う。
「おい、飛影に使いをやって、当分お前の顔は見たくないと伝えろ。ついでに、酒の分け前はないとも言っておけ」
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