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新月を追って
11
「っーか何か用?」
「いや、キヨさんが心配して聞いて来いって……」
「は? 誰のせいだと思ってんだよ! っっといて」
「ははっ……分かった、じゃあな? 気をつけて帰れよ?」

 と手を挙げて、背を向けると直哉がグランドの部員達がいる方へ戻っていく。そんな後姿を、はいはいお先しまーすと軽口を叩くように見送る千田。短い間ではあったが二人のやりとりから、大分仲が良いことを感じて敦志は何故だかショックを受けていた

―――直哉さんと千田が仲良くても……そんなの、関係ないはずなのに
   
「中西? ……もう、直哉さん行っちゃったけど?」

 思い悩んでいたせいか耳元でそういわれると敦志はビクッとして顔を上げた。あ、ごめんと謝り身動ぎすると千田は肩を組むのをやめて二人は少しだけ離れた。何故だか気まずく感じて敦志は再び俯いて制服を意味もなく正しだした

「中西って……直哉さんとなんかあった?」
「えっ!? わぁっ」

 図星をつかれたことを隠せず、敦志は鞄を落としかけた。咄嗟に掴んで落としはしなかったがなんかあったと言っているようなものだ。あからさま過ぎる動揺に千田がふぅーんと呟いた

「ち、違う! 直哉さんとは……なんにも」
「嘘だーっ」
「嘘じゃないっただ……」
「ただ? なに?」
「……直哉さんを怒らせちゃって」

 少し言葉に詰まったあと、敦志はそう言って誤魔化すように笑みを浮かべた。でもそれがあまりに悲しい表情で面白がっていた千田も急に真面目な顔になり

「なに、あったの?」

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あきゅろす。
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