新月を追って
10
次の日の放課後、敦志は自分が指定した空き教室へ向かっていた
事実を聞き出して外村を責めるつもりで、そればかり考えて扉を開ける
ガラガラと乾いた音がして視界が開けると、そこは机と椅子が奥の壁際に寄せられ、少し空いた空間に教卓がぽつんと残っていた
その側に立っていた外村がドアが開いた音に振り向く。口元を笑わせた表情が不気味でつい、敦志は身動きがとれずに立ち尽くしてしまった
外村はそんな敦志に構わず近づいてくる。息が触れそうな距離まで近くなり、外村の一挙一動を固唾を呑んで見守る敦志を一瞥すると敦志の腕を引いて教室のドアを閉めた
二人きりになったことに無意識に後ずさる敦志。
外村は掴んだままの敦志の腕を大人しく離して余裕ともいえる表情のまま再び敦志に向き直った
「で、なんだ?文句あんだろ?」
その態度に薄れかけていた怒りが沸々と湧き戻ってきた。
胸元ばかり見ていた敦志は外村の目を見て睨みつけ
「お前が……っお前が直哉さんに言ったんだろ!?」
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