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新月を追って
11
 怒りのままに殴りかかった。けれど冷静なままの外村にあっけなく拳を止められてしまう。
 途端に焦って離せよ、と言いながら外村の手を振りほどこうとするが無表情なままの外村は敦志の手を離そうとしない
 敦志の表情が怒りから恐れを含んだものに変わると外村は唇を釣り上げて笑い吐き捨てるように言った

「とんだ言いがかりだな」
「っ…お前じゃなきゃ誰が! 直哉さんには言わないって言ったのにっ」

 今にも泣き出しそうに叫ぶ敦志に外村は深々と溜息を吐き、面倒くさそうに視線を反らした

「しらばっくれんなよっ約束違うだろっ」

 もう怒りなのか悔しさなのかよくわからないが敦志はそう叫びながら未だ自由だった左手で殴りかかった。けれど無残にも左手さえ軽々と受け止められてしまった
 両手を拘束されたことに不安げに瞳を揺らしながら外村を見つめていると

「お前…勘違いしてねぇか?」
「え…」
「俺がいつ、"言わない"なんて約束した?」

 外村の言葉が鋭く耳に届くと同時に敦志は大きな音をたてて壁に押し付けられていた
 背中の痛みよりも外村の強い視線に心拍数が呼吸が乱れていく

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あきゅろす。
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