Non Stop部屋
3













ガタンゴトン………



電車の窓から見える灯りをボーッと眺めた。



窓には明るい髪色と対称的な、暗い表情の俺が映っている。







会社と自宅を往復するだけの毎日。




何のために仕事してるんだ?

って疑問が湧く時もあるが、仕事中心な生活を送っている。




ここ最近は彼女もいなくて独りを満喫しているけど、

どこか虚しい?




家庭を持ちたいとかまだ思わないけど、何か張り合いが欲しいと思う26歳な俺。




仕事漬けな自分に何で滅入っているかと言うと、








今日が花の金曜日だから。





そんな景気の良い言葉なんて死語だってのに………




そのまま帰るのって何か勿体ない気がして、でも何か用があるわけでもなくて


周囲はどこか浮かれて見えて






何か虚しい。







週末はこれといって予定がないから余計?




「………不憫だな……」





つい言葉が零れてしまったが、電車内では聞こえる声量ではなかったみたいだ。







DVDでもレンタルしてくかな?
映画でも観てれば時間は潰せる。


AVもついでに?




ははは………余計虚しいっての。



男盛りなのに最近ヤッてないし………


セフレも面倒で別れたし、風俗も行ってない………



久し振りにかすがに連絡してみるかなぁ〜

卒業してから全くだもんな。


ま、ヤラしてくれるわけないけどあいつの乳でも揉めば元気になるかも〜??






携帯を取り出し、『久し振り〜週末暇?』の簡単なメールを作成、送信。




………返ってきたのは『死ね馬鹿』な、俺より簡単な内容。



やばい…………涙出るかも。




気落ちしてる所へ予想通りの仕打ちに、余計に気持ちが萎えた。






「帰ろ…………」






乗換駅に着き、人混みの流れに身を任せた。




待ち合わせをしたり、
複数人で歩いたり、
笑顔だったり………



やっぱり周囲は浮かれて見える…………



俺は誰とも話さないまま
誰もいない部屋へ帰るんだ。

みんな、俺の分まで楽しんで下さいな。





何も見たくない。

何も聞きたくない。








「………す……さ……」





人混みを早く抜けようとしてる中、呼ばれた気がした。






「佐助さんッ────」





気のせいじゃない。


確かに俺を呼ぶ声。



声の主を探す────






「やっぱり佐助さんだ………」




駆け寄って来たのは、学ラン姿の男の子。



誰だ…………




って考えようとした瞬間、




「─────政宗ッ!?」





封印していた俺の遠い記憶の引き出しが瞬時に開いたのだ。




「はいッ………佐助さん」






名を呼ばれ、あの日俺が犯した過ちが鮮明に思い出された………─────





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あきゅろす。
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