太陽と月の距離
捕獲
『売買の現場を取り押さえるんだぜ?』
「うむ」
無線を携えて、数人の刑事がそれぞれの持ち場に張り付いた。
男が吐いた情報では、風俗店のティッシュ配りに扮してすれ違う一瞬で金と物を渡し合うのだと言う。
そして客だという目印は、帽子を被って近づいた時に咳3回……
『当たりが出るといいな……』
風俗店のティッシュ配りなど数が多い。
ましてや帽子を被った人間など五万といる。
「…………っ」
長期になると思われた張り込みだが、幸村は挙動の怪しい男を見つけた。
「真田です……北方向へ紺色の帽子を被った男……不審です」
『よし……フォローに入る』
街のざわめきさえ耳に届かない程の緊張が走る。
「ゴホ……ゴホゴホ」
「────ッ」
決定的な条件が揃った。
「真田です……動きます」
『こちらもターゲット確認』
『真田!早まるなよ』
「はい……」
幸村は一挙一動見落とさぬように瞬きすらせず男との距離を詰めた。
「──ッ!!」
幸村は確かに見た。
「ティッシュと何かを手渡すのを確認しましたっ」
『別角度、何かを受けるの確認!』
『確保!!』
指示官の言葉と同時に幸村はティッシュ配りの男に飛び掛かった。
「なっ!?サツか!!」
「チッ!」
「逃さん!!」
飛び掛かかれて倒れ込んだ男は駆け付けた仲間に任し、幸村は帽子を被った男を追った。
「犯人を追跡中!人混みを避けて裏手へ逃げ込む気です!」
『逃がすなよ!』
「御意!」
人の波を押しやり、見失わないように走り続ける。
「止まれ!!」
「くそっ!しつけぇ!!」
距離を徐々に縮めた。
「くそっ……!!」
「おいっ前を見ろ!!」
後ろを気にしながら走っていた男は、脇道から出てきた通行人が目の前にいると判断するのが遅れた。
「あぁ?─────ッ!?」
「!?」
一般人に怪我をさせてしまう……そう考えた次の瞬間に起こった事に目を見張った。
×××××××××××××××
オマケ
「おいおい〜……何でこんな時に限って叫ばねぇんだよ!」
慶次は無線に入る情報を頼りに幸村を追いかけた。
「どこだよぉー!!幸村ぁ!!」
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