戦国
白いその肌(佐→政)
「新雪は気持ちが良いなぁ〜!」
「ははは………」
幸村は晩から降り続けた雪と戯れていて、佐助は木の上からそれを乾いた笑いで眺めていた。
「はぁ………寒……」
(……上田でこれだけ降り積もったんだから……奥州は………)
「会いたくても行けないよ………」
佐助は北の空を見上げ、想い人に焦がれた。
(竜の旦那って………雪を連想するよなぁ………)
佐助は木から降り、足下の雪を手に取り眺めた。
(白くて冷たいところや、周囲の色を替えてしまうところや……
捕まえても一時しかこの手にいなくて、指をすり抜けて消えてしまうところや………)
手のひらの雪はみるみる溶けていった。
「………儚い」
(………まぁ儚いのはこの世に生を受けたもの全てかな?
いつ死ぬか分からない戦乱の世………
明日の命の確証もない………俺も旦那も………)
「………竜の旦那のそばにいたいな………」
佐助は手のひらを見つめたままポツリと呟いた。
「ッ!!」
(お……俺様何言ってんだ!?旦那に仕える忍のくせに……居場所を望むなんて!こんなの忠義に反するよ……!!)
「だ、旦那ごめん!」
「む?どうした佐助?」
「えぇ〜っと……何ていうか、気が緩んでるみたいだから殴って欲しいんだ」
「そうか!よし、歯を食い縛れ!!」
(あぁ………こんなことで罪滅ぼしにはならないとは思うけど……旦那ごめんよ)
「おぉぉ行くぞ!佐助ぇー!!」
「ちょ……たんま、ぐはぁぁあッ!!」
佐助は後ろめたさから申し出たのだが、気合いを込める幸村を止めようとしたが既に遅く、
熱い拳で頬を殴られた佐助の体は吹っ飛び、雪の上に倒れこんだ。
(ははは………俺様、何でこの人に使えてるんだろ………)
雪に埋もれたまま泣きそうになった佐助だった。
(竜の旦那………必ず………また会おう………)
次という願いを掛けて、遠い雪解けを待ちわびていた…………
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しんみりの予定がギャグに………
捕まえたと思っても消えてしまう、ってとこが書きたかっただけ。
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