戦国
月より団子(佐+政)
今宵は満月
秋の澄み渡る夜空は格別に美しい。
風流に縁側で月見を楽しみながら盃を煽るのは奥州の王………
「………やっぱり来たな………」
手元の酒に映る月を見ながら呟いた。
「え?何々?竜の旦那ってば俺様のこと待ってたの!?」
気配もなく現れたのは甲斐の忍………
「何の用だ?」
「何って………分かってるでしょ?」
意地悪そうに笑う政宗に、嬉しそうに笑う佐助。
「会いたくて来ちゃったよ………」
政宗の隣に腰を下ろした。
「よく来れたな………坊やは月見って騒がなかったのか?」
「あはは………」
佐助の笑みが固まった。
「………もぉ〜!大変だったよ!」
記憶が甦り頭を抱え込んだ。
「団子団子っていつも以上に騒ぐんだよ!?毎日ねだるくせに月見団子は別格だ!って力説するし!鬱陶しいから相当作って逃げてきたよ………あ、これはお土産の団子………」
佐助は一気にしゃべり、肩を落としながら懐から包みを出した。
「ククッ………」
主従の喧しいやり取りが目に浮かび、可笑しかった。
「はぁ………会えて良かった……」
「………Stop」
「え??」
佐助は政宗の笑顔に吸い寄せられるように顔を近付けたが、政宗の手に制止された。
「今は気持ち良く酒呑んでんだ……邪魔するな」
「えぇ〜………もっと気持ちいいことしようよ……」
懲りずに唇を奪おうとすると、
「痛い痛い痛い!」
頭を押さえつけられて佐助は倒れた。
が、
「あれ……?」
気付けば膝枕の格好になっていた。
「………月は逃げちまうから今見ておけ」
「ん………」
政宗は明るい色の髪を撫でた。
佐助は照れ臭くてこの場を茶化してしまいそうだったが、優しい手付きに心地好さを感じて口は開かなかった。
政宗の影が佐助の顔を覆うまで、二人は虫の声を聴きながら、青白く光り輝く名月を眺めていた…………
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中秋の名月に合わせて。
駄々っ子幸村はオカン佐助を困らせてばかりですね。
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