戦国
忍べよ!忍A(政+佐)










月の光が綺麗な晩だ……






政宗は布団の上で片膝を立てて座っていた。




肘をついて髪を掻き上げ、そのままの体勢で何か考え込んでいた。







胸がざわつく…………






何かが起こる前兆なのか、落ち着かない。







月に雲がかかり、部屋の中がすっと暗くなった。






「─────っ!?」




一瞬の事だった。



政宗は空気が変わるのを本能で感じ、懐刀を取り出した。






そして、闇に乗じて現れた侵入者の首に刀を当てた。




だが、自分の首にも苦無が当てられている。





どちらも相手の気配を探りながら身動き一つもしなかった。





殺気のない侵入者……






政宗は緊張で自然に喉が上下した。



雲が流れ、室内がまた月明かりで照らされると





そこには暗闇でも映える髪色をした人物がいた。





「こんばんは。竜の旦那」



お互いの表情も分かる明りになり、佐助はにこっと笑顔を向けた。




「どう?忍らしかったでしょ」



笑いながら苦無をしまう佐助に呆けていた政宗だが、意味が分かり刀を鞘に納めた。





「Ha!上出来だな!」





以前、忍なんだから忍べよ!と笑い種にした仕返しなのだろう。





「今回も俺に会いたいがために奥州まで来たのかよ?」

「ん〜…空を見てたら雲の流れが早くてさ、風に乗ればすぐに着くような気がしてさぁ〜」




ま、俺様は実力があるからなんだけどね!



と、照れ隠しのように付け加えた佐助だが、

政宗は喉の奥で笑った。





「お前は本当に馬鹿だな。行きは良くても帰りの向かい風はどうすんだよ」

「あ、ははは〜♪ま、俺様凄いから平気でしょ!」




まだ小さく笑い続ける政宗に赤くなりつつも、平静を保とうとする佐助だった。




「早く帰らねぇと子犬が起きて騒ぎ出すぜ?」




あぁ〜……うちの旦那早起きだからなぁ〜……





未練を残しつつも頭の中では、自分の名を呼び探し回る主人の姿が簡単に思い浮かんでしまったから仕方ない。




「また来るよ。竜の旦那」

「Ha!来なくて結構だ!」

「忍の仕事で来るかもしれないけど……」





目に光を宿しながら嫌な笑い方をした。





敵同士なんだから───




「何?」



無言のまま政宗は人差し指で佐助を近くへ来い、と招いた。






─お前が本気で来るなら俺も本気で相手してやるぜ─




佐助の耳元にそっと囁かれた熱っぽい文句。





敵として?


想い人として?



どっちの意味で??






そこまで聞きたい佐助だったが、場の主導権を握られて居心地悪く去って行った。








いつも乱されるのは俺様ばっか!!



いつかあの不敵な笑みを壊してやりたい!!



まだ耳元で残っている囁きに赤くなる佐助だった。










××××××××××××××××
「うぅおぉぉお〜!!佐助はどこだぁ〜!?」


という幸村の叫びが上がったのでしょうか??



いつも女王様な政宗様が好き!

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あきゅろす。
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