戦国
月の罠(*濃×政)
※佐政前提で
『次の満月の晩、俺の所へ来い』
(そう言われて向かっちゃう俺様って………尽くすタイプだよね〜)
「……っていうか、満月って忍には天敵なんだけど!」
月明かりの中を警戒しながら移動する佐助は、自分を呼びつけた竜を思い出して口端を緩めた。
──────
「俺様って優秀!」
誰にも気付かれることなく佐助は城壁に舞い降りた。
(何だ……?)
普段とは違う慌ただしい雰囲気の城内に佐助は目を細めた。
「探せ!まだ近くにいるかもしれねぇ!」
竜の右目が声を張り上げている。
「何かあったの?」
尋常ではないと悟った佐助は小十郎の脇に降り立った。
「────テメッ!!」
「わぁぁっ!」
小十郎は佐助を視界に捉えるや否や、抜刀した。
「ちょっ!右目の旦那!何!?」
「テメェが………!」
間一髪で刃を避けた佐助だった。
「てめぇが………来ると言うから……」
小十郎は剣先を震わせて佐助を睨んだ。
「部屋に近づかぬよう言われたので……」
「まさか………」
「政宗様は何者かに連れ去られた…」
目を逸らした小十郎の苦しそうな告白に、佐助は目を見開いた。
『お楽しみの邪魔はCoolじゃねぇぜ?』
悪戯っ子のように笑った竜……
「………俺が必ず連れ戻すよ───」
飄々とした姿からは似つかわしくない、真剣な低い声色に小十郎は視線を戻したが、既にそこに姿はなかった。
──────
「ぅ………」
目を開けると満月の明かりに照らされた畳が見えた。
体を動かそうと試みると、後ろ手に縛られて自由が奪われているだけで五体満足のようだ。
「Shit………」
政宗は自分の状況に舌打ちをした。
「お目覚めのようね……」
女の声がして政宗は上体を起こした。
「お前は……」
「気分はどうかしら?」
胸元や足元が月明かりで白く浮かび上がる。
「……Ha!魔王が俺の首を欲しがってるのかよ」
「ふふふ……勘違いしないで……北国へ用事があって、その寄り道よ」
濃姫は政宗の顎を手を添えて顔を上に向かせた。
「竜の坊やに会ってみたくて……ただの好奇心……」
「謁見希望にしちゃ随分な扱いだな」
「あら?丸腰で忍の侵入を待ってたみたい……そう聞いたわ」
「………!?」
政宗は首筋を這う指先に体が熱くなるのを感じた。
「テメェ………」
「誰かとの逢瀬の邪魔をしたお詫びに楽しませてあげるわ………」
政宗は薬を盛られていた。
───────
「くっ………」
「ふふふ………声を殺すことないのよ……」
政宗は着物の帯を解かれて肌を露にされていた。
濃姫の指が敏感になった体を愛撫する。
政宗は沸き起こる快感を堪えるように唇をきつく噛み締めた。
「女に凌辱される気分はどう?……屈辱的で切腹も出来ないでしょ?」
「ッ………」
「強い目ね……その目をした者を倒す時、上総介様は悦ぶわ……」
濃姫は嬉しそうに政宗の頬を撫でた。
「屈しない瞳は私も好きよ……」
噛み切れた唇は血で朱に染まった。
───────
「んっ…………」
女の柔らかい口が、舌が亀頭を刺激する。
「ふっ………ん」
ピチャピチャと音をたてながらしゃぶられて、政宗は体をびくつかせながら射精を堪えた。
「声も出さないし、我慢強いのね……それとも………」
「ッ!」
濃姫は陰嚢から更に後ろへ指を這わせると、政宗は体を強張らせた。
「うふふ………竜の坊やはこっちの方が良いのかしら」
「アッ……」
政宗は蕾に押し入る指の感触に声を出してしまった。
「いい子ね…………」
「んっ、あ!」
一度漏れ出した声は収まらない。
─────
「アッ!」
媚薬の効果も手伝って止めどなく快感の波が押し寄せる。
「ふふふ……たっぷり出したわね……」
「くっ………Shit………!」
濃姫は政宗の中を掻き回し、射精を促している。
「やっぱり坊やはこっちが好きみたいね………」
腹の上に飛び散った白濁の液を指で弄んだ。
「ハァ………アッ!」
「ふふふ……まだよ……」
濃姫は政宗の前立腺を刺激し続ける。
「色っぽいわね………私も興奮しちゃうわ……」
「んっ」
吐き出したばかりで敏感になっている部分をしごかれて、また硬度が増してきた。
「アァッ!ん!」
「ハァ……この姿をいつも見せているのね……」
前後を激しく攻め立てられて政宗の足はガクガクと震え、だらしなく開いた口からは喘ぎ声が止まらなかった。
「あ……アァッ……さ……助……」
頭の中が真っ白になりそうな時、名前が自然に溢れた。
ガタンッ───
「何!?」
大きな物音がして我に返った。
「──姫様!曲者……ぐはっ!」
「曲者ってこっちの台詞だよっと!」
濃姫に報告へ来た草の者が倒れると、その背後から橙色の髪が目に飛び込んできた。
「何奴!?」
「姫!お逃げ下さい!」
「逃がすかよ!」
濃姫は黒い影に抱えられるように佐助の苦無をかわして部屋から消えていった。
「くそっ………」
佐助は深追いはせずに政宗に駆け寄った。
「竜の旦那!旦那!」
「………ぅ……」
政宗を抱き起こし、頬を軽く叩いた。
「遅くなってごめんね……」
「ん……あぁ………俺を待たすなんて大した度胸だな……」
「旦那………」
こんな目に合っても気高さは失わずに笑みを浮かべる竜に胸が締め付けられそうだった。
「ごめんね………」
「Ah〜?……早く俺を満足させてくれよ……」
「でも………あっ」
政宗の心身を心配して躊躇していると、強引に手を引かれて体勢を崩した。
「うるせぇよ……」
「ん……」
唇を合わせれば始まりの合図……
───────
「アッ!もっと……アアッ……!」
「んっ……もっと俺を感じて……」
今宵は何事もなかったことにしようと求めてくる政宗の気持ちを汲んで、佐助は優しく激しく抱いた。
───────
「ん…………」
「政宗様!」「筆頭!」
政宗が目を開けると心配そうに眺める部下達の顔が飛び込んできた。
「政宗様、ご無事で何よりです!」
「……Ah〜……」
「政宗様……何が……」
政宗は頭の中を整理した。
手首の痣、体のだるさ、腰の鈍痛は昨夜の出来事を夢でないと物語っていた。
気を失った後、佐助が運んだのだろう。
「………あれは……」
部下の真剣な眼差しに答えるべく言葉を探しながら体を起こすと、縁側に光る物を見つけた。
「あっれ〜?こんなのいつの間に〜?」
成実は拾い上げて政宗に手渡した。
「女物の髪飾りが何で落ちてんだ??」
手渡された簪は見覚えがあった。
美しい女の髪で月に照らされて輝いていた物だ……
(あいつ………討ったか………)
「ククッ………」
「政宗様?」
自分の身を省みずに魔王の嫁を討ち取った想いの強さに、嬉しくもあり照れ臭くあり笑みが溢れてしまった。
「小十郎……人の色事を詮索するのはCoolじゃねぇな」
「政宗様………」
小十郎は主君の嬉しそうな顔を見たら心配も小言も出来なくなってしまった。
─────
(奴が生きていれば、また満月の夜に会いてぇな……)
月明かりに照らされて、橙色の髪が黄金色に輝いて見える。
快楽にうっとりとした表情をしながら、
『──好きだよ』
と、唇が動いた。
満月の明かりでなければ読み取れない愛の囁き………
「月よ……早く満ちやがれ……」
政宗は簪に軽く口付けをした。
××××××××××××××××
男女の濡れ場にする予定が、信長に操を立てた濃姫になってしまったなぁ〜
ホントは女王様対決にしたかったのに、ただの甘いサスダテ小説になっちゃうし散々だ(汗)
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