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小説 3
NEW!・4 (完結・R18)
「すげえな、食い込んでる」
 オレの声に、三橋がまた「ひっ」と息を呑んだ。顔は勿論、胸元まで真っ赤に染まってる。
 あんだけ暴れてたのに、もう観念したんだろうか。三橋が手足の力を抜いたのが分かった。
 けど、泣きながらぶるぶる震えている。

 泣いたって、もう今更やめてやれねーけど。

 指を替え、数を増やしてもっと柔らかくほぐしながら、三橋に囁いた。
「どした、大人しいじゃん」
 すると、三橋が涙声で言った。
「だって、誤解、阿部君、信じて貰え、ない。う、オレ、証明するの、こ、こうするしか、ない、から」
「へぇー」
 適当に相槌打ちながら、自分のベルトを外す。
 カチャカチャと、バックルが耳障りな音を立てる。
 もう理性は頭の先にまで追いやられちまって、欲望しか詰まってねぇ。
 半分真っ白で、今のことしか考えられねぇ。
「証明? 何の?」
 オレより幾分冷静なんだろうか。涙声のまま、三橋が応えた。

「オレが、初めて、だ、って、し、証明……」

「はっ」
 オレは唇を緩めた。
 おかしい。おかしくて嬉しくて、止まらねぇ。
「ははっ!」
 だって、そんなの、分かってる!
 初めてだなんて、分かってんだよ、三橋!

 苦しいくらい張り詰めたモノをあてがうと、その入り口が蠢いた。
 ゆっくり腰を沈めて、三橋の中に侵入する。
 必死に痛みをこらえる三橋が、切なくて好きで愛おしい。
 馬鹿だ。
 誤解を解くために、こんなことさせて。
「好きでもねーくせに」
 思わず呟くと、三橋が息を呑んで、目を開けた。

「好き、に決まって、る、よっ!」

 カッとした。
 嘘つくな!
 怒りに任せて、残りを一気に捻り込む。三橋が痛みに仰け反った。
 何で好きとか言うんだよ。ワケワカンネーし。
 切なくて、ムカついて、細腰を掴んで突き上げる。
 乱暴に揺すられて、三橋はされるがままに泣いて、それでも泣きながら、小さく呟いてる。
「好き……好き、好きな、んだ」

「黙れっ」

 片手で口を塞いでも、三橋はイヤイヤをするだけで、「好き」の連呼をやめねー。
 たまらなくなって唇で塞ぐと、甘い吐息が鼻をくすぐる。
「んん………」
 三橋がまた甘く呻いて、オレの背中にしがみついた。
 何で、こいつ。無理矢理犯されてんのに、甘く呻いたりすんだろう。
 責めの調子をゆるくすると、泣き声の合間から、また「好き」の連呼が始まった。
 そんな何度も。
 何度も「好き」って言われたら、期待しちまうじゃねーか、どうすんだよ!?

 「好き」が聞きたくて、でも聞きたくなくて。オレは再び、三橋を激しく攻め立てた。
 三橋はオレにしがみついたまま、オレが果てるまで手を離さなかった。
 最後の瞬間、外に出したオレから、白濁が飛び散り、榛名のシャツを汚した。

 しばらく、息が上がって喋れなかった。
 射精に使うエネルギーは、100m全力疾走くらい、と言われるけど……セックスはそれ以上だ。
 ただでさえ部活の後だ。動いてたオレもかなりキツイが、叫びっぱなしだった三橋もキツそうだった。


 やがて小さな声で、三橋が言った。
「証明、できた?」
「さあな」
 意地悪く言ってやると、三橋がしゃくりあげた。
「う、あ、ホントに……」
「ああ、分かってるよ。つか、分かってた、最初から。つまんねー嫉妬してただけだ、榛名に」
 ごめん、と謝ると、三橋がぐいっと涙を拭いた。
 安心したようにため息をついてる。
 オレもつられて、ため息をついた。

「お前、榛名のこと好きなのにな。……無理矢理抱いちまって、ごめん」
 すると、三橋が起き上がって叫んだ。
「違う、よっ!」
「はあ?」
「オレ、榛名さん好きだ、けど、そういう意味じゃない。オレ、好きなの、阿部君、だ。は、榛名さん、昨日、相談のって貰った、んだ。そし、そしたら、写真くれた。これ……」
 三橋は訳のわからない事をつっかえつっかえ口走って、さっきオレが床に放り出した封筒を拾った。そこから写真を取り出し、オレに見せる。

 戸田北のユニフォームを来た、榛名の他に。その写真には、オレも写ってた。
 笑ったり、怒ったりした顔で。
 ……今より幼くて、表情豊かな顔で。

「あー」
 榛名の写真じゃなかった。
 今朝、朝もやの中で、三橋が胸に抱えていたのは。祈りを捧げるように、大事に想いを寄せていたのは。
 オレの写真だったのか……。

「ごめん」
 オレはもっかい謝って、三橋を床に押し倒した。
 そしてもっかい、唇を合わせて舌を絡めた。
「阿部君……?」
 唾液も吐息も、呼ぶ声も。何もかも甘くて、胸が震える。

「じゃー、このTシャツは?」
 脱がせながら尋ねると、「ジュースこぼした、から」と色気のねー応えが返って来た。
 ああ、そんなもんなんだろうさ。
 分かってた、最初から。

 オレは苦く笑いながら、三橋の裸身に唇を寄せた。

  (完)

※麻那様:フリリクのご参加、ありがとうございました。「榛名←三橋に嫉妬した自覚阿部が、独占欲丸出しでR18」な感じになってたでしょうか。榛名とのエピソードが多すぎですかね? それでRが少なすぎでしょうか? うう、収拾が付かなくて。ご要望があれば、手直しします……。

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