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小説 3
IDENTITY・2 (前半R18)
 おしおきは夜、もちろん念入りにしてやった。

「ご、めんな、さい」
 ミハシが泣きながら、ぶるぶると首を振る。
 オレは返事をする代わりに、薄桃色の乳輪を甘噛みした。
「あっ、あん」
 ミハシは上擦った声をあげて、眉根を寄せる。
 さんざん噛まれ、舐められ、つままれた乳首は、二つともコリコリに尖ってる。

「も、そこばっかり、は、ヤぁだ」
 すすり泣きながら、オレの胸を押し返して来る様子は、スゲー可愛い。可愛いけど……反省が足りねぇよな。
「オレの言うこと聞けねーんだから、オレだってお前のおねだりは聞かねーの」
 笑いながら言い聞かせ、邪魔な両手を、まとめて頭の上に押さえつける。
 まだ毛も生えてねぇ脇に顔をうずめ、ざりざりと強く舐めてやると、ミハシが甘く呻いて身をよじった。

 全く、呆れるくらい感度いいよな。
 こいつは匂いも、声も、仕草も、目付きも……何もかも無意識に、オレを誘おうとしてる。
 脚を広げさせながら、太ももの内側を撫でてやったら、いやらしく腰を浮かせて来た。
 誘うようにうねうね揺らして、ホントいやらしい。

 男同士だから、どこ触って欲しがってんのかはよく分かってる。
 胸より、どこより、中心に屹立してるやつの方が、何倍もキモチイイよな。
 けど、ミハシのイイとこ触ってやったりしたら、おしおきにならねぇだろ。それじゃむしろ、ご褒美だ。
 ご褒美ってのは、イイコしか貰えねぇんだよ!

 後ろの穴ほぐしてやってる間も、ミハシは泣き悶えながら腰をいやらしく揺らしてた。
 ずっと触れてやらねぇでいた陰茎は、限界まで張り詰めて、きれいな色の亀頭から、雫が溢れてはこぼれてる。
 自分で慰めたくて仕方ねーだろうに、こういうとこちゃんと「お預け」ができるんだから、褒めてやってもいいかもな。
 けどもう、頭ん中は射精することでいっぱいなんだろう。
 口にするのは「あっ」とか「ひぅん」とか、そんなのばかりで、意味のある単語一つ、まともに言葉に出来やしねぇ。

「イイコにするなら、挿れてやるけど、どうする?」

 オレは意地悪く囁きながら、耳の中に舌を差し込んだ。
 同時に、充分柔らかくほぐした穴に、オレのものを押し当てる。
 貫かねぇよう加減しながら、ゆるく突いてやると、たまらなく焦れってぇのか、甘い声を上げた。
「ん、やあ」
「イヤならやめとくか?」
「や、だぁ」

 そのイヤは、どっちだっつの。
 くくく、と笑いながら、尖ったままの乳首を、乳輪ごとぎゅうっと捻ってやったら、声にならねぇ悲鳴を上げて、ミハシが達した。

 その瞬間を見逃さず、自分のを一気にミハシに突き立てる。
 組み伏せた白い体が、弓なりに反った。
 そのまま息つく暇も与えねぇで、オレの好きなように存分に揺さぶる。
 おしおきだからな、加減なんてしてやんねー。

「お前だって、モンスターに手加減しねーんだ。だったらオレも、お前啼かせるのに手加減しなくていーんだよな?」

 そう言うと……ミハシはオレの背中にしがみつき、容赦なく爪を立てながら、甘い声で「もっと」とねだった。



 持ち帰った熊胆は、結構高値で売れた。
 儲けた金で買うのは、まずミハシの為の呪文書だ。
 ミハシの為に稼ごうとしてんのに、戦利品を本人が燃やしちまうんだから、腹が立つのも当然だろう?

 ミハシは魔法使いだったみてぇだが、記憶と一緒に、魔法まで忘れちまったらしいんだ。
 けどその前は、結構頑張って修行してたみてぇで、呪文書を買って読むだけで、簡単にその魔法が使えるようになる。
 普通は、呪文書を買ったって、それを使いこなせるようになるまで、相当練習が必要らしいのにな。

 出会ってから3ヶ月。
 オレがミハシに買ってやった呪文書は、『火球』とか『治癒』とか『水球』とか……そろそろ20くらいになるかな。
 そして、魔法を取り戻すと同時に……記憶の方も、少しずつ戻って来てるみてぇだ。

 例えば、『火球の呪文』を覚えた時は、キャンプの風景を思い出したつってた。
 組まれた薪に、火球で火を点けるところ。
 夜空に映えるオレンジの炎。
 そこで焼かれる魚と串肉。
 目の前の誰か……。

 『治癒の呪文』を覚えた時は、高原を思い出したらしい。
 ハイランダーウルフ。
 遠吠えと唸り声。
 血を流してる誰かの腕。
 薬草の匂い……。


 夜が明けたら、また熊胆を売った金で、新しい呪文書を買いに行こう。
 今度は何の呪文にすっかな?
 その呪文でミハシは……どんな過去を思い出すんかな?

 おしおきの最中に、気を失っちまった、魔法使いを抱き締めたまま、オレもそっと目を閉じた。

(続く)

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