Season企画小説
大人になる日・6 (R18)
ベッドに移ってからは、更に阿部君のなすがままだった。シャワーの下でされたことを、シーツの上で続けられる。
オレはうつ伏せになってお尻だけを高く上げ、阿部君がそこを拓くのを悶えながら受け入れるだけだった。
恥ずかしくて恥ずかしくてたまんなくて、大きな枕に顔をうずめる。
バスルームで使ったのと同じボディローションが、体の中に塗り込められる。太い指で粘膜を撫でられ、内壁をこすられて、我慢しても声が出た。
「ん、んっ、うんんっ」
自分のモノとは思えない、くぐもった声が耳に響く。
「痛くねぇ?」
気遣うような問いにも首を振るのが精一杯で、振り向いて顔を見ることもできない。
恥ずかしい。けど、イヤじゃなかった。
右手でそうして穴を丁寧にとろかせながら、阿部君は左手でオレの体ををまさぐった。
大きくてゴツゴツした手、いつもはミットに包まれてる手が、オレの背中を撫で、腰を撫でる。
「三橋……」
少しうわずった声で名前を呼ばれ、突き出したお尻にキスされる。
「ん……っ」
そんな刺激にさえぴくんと腰を揺らすと、阿部君が嬉しそうに笑うのが聞こえた。
体内に埋められた指が、いやらしく抜き差しされる。
今、何本入ってるのか、オレにはもう分かんない。
バスルームで、1度抜き合ったのに。オレの陰茎はとうにビンビンに張り詰めて、少しの刺激でも射精しそうだった。
「あ……あ、もう……っ」
耐えられない。達しそう。
でも羞恥に耐えて逃げないでいられるのは、阿部君も同じ状態なの分かるからだ。
突き出したお尻に時々押し当てられる、固いモノ。それは熱くて強大で、阿部君の気持ちを十分に語ってた。
「……いい?」
短い問いに、こくこくとうなずく。
「んっ」
うめき声なのか、了承の合図なのか、自分でも判断付かない声が上がる。
無理強いはしないって約束通り、ちゃんとオレのペースを守ってくれる阿部君。こんな時にも冷静で――大人だ。
彼の指が抜かれて、びくんとはしたなく腰が揺れた。
込み上げた射精感に耐え、息を詰めると、阿部君が覆い被さって来て、背中越しに抱き締められた。
人肌を合わせると、それだけで気持ちイイって、聞いたことあったけどホントなん、だ。阿部君の体温がすごく心地よくて、そんだけで胸が熱くなる。
「阿部君……好き……」
2年前に拒絶された言葉を、再びぽつりと彼に告げる。
「オレもだ、三橋。愛してる」
阿部君はハッキリとオレにそう言って、頬をすくうように振り向かせた。
顔を見るのは恥ずかしい。見られるのも恥ずかしい。カーッと赤面しながら、たまんなくて目を閉じる。
キスに答えると、大きな手で肩を掴まれ、仰向けにひっくり返された。脚を押し開かれ、咲かされたつぼみに固いモノが押し当てられる。
もう、「いい?」とは訊かれなかった。
目を閉じたまま腕を伸ばし、阿部君の肩にしがみつく。
指よりも存在感のある肉が、ぐっと突き立てられてオレの中を満たしてく。
「う、ああっ」
圧迫感にうめくうちに、全部入ったみたい。阿部君がオレを正面から抱き締めた。
「三橋……」
「う……」
まともに返事をする余裕がない。口をぽっかり空けたまま、ぎゅっと閉じてた目を開ける。
「苦しくねぇ?」
そんな気遣いにも「う……」としかやっぱ返事できなくて、こくんとうなずくとキスされた。
空けたままだった口の中に、肉厚の舌が入れられる。
口中をぞろりと舐められる感触。互いにぎこちなく舌を絡めて、何度も何度も繰り返す。
「ん……ふあ……」
繋がってる場所がずくんとうずいて、キスの合間に声を漏らすと、それまでじっとしてた阿部君が、「はっ」と息を吐き腰を揺らした。
うかがうように揺らされ、いきなりの刺激に縋り付く。たくましい腕、広い背中、腕を回すとそれを合図にするように、抜き差しがどんどん強くなる。
キスがほどかれ、阿部君が離れた。
体を起こした阿部君は、オレの腰を両手でとらえて、そのままオレを揺さぶり始めた。
「ああっ、んっ」
衝撃に上ずった声が漏れる。
阿部君の腕に両手で縋って、オレはひたすら声を上げた。
痛みはない。でも、気持ちいいかは分かんない。ただ衝撃が強くて。そして何より、幸せでたまんなかった。
自分ばっか喘いでるのに気付いたけど、口を閉じられないから止められない。仕方なく片手で口元を覆うと、それを無理矢理外された。
「声聴かせて」
ねだるような言葉に「やあっ」と首を振ると、抜き差しがもっと早くなった。
「あ、あ、ああっ、うあっ」
リズムを刻まれて、啼かされる。
ふいに突き込まれる角度が変わって、その瞬間甘い電流が走った。
「ああ――っ!」
高く叫んで身をよじると、その場所だけを攻められる。いやいやと首を振ってもやめてくれなくて、耐え切れずに射精した。
「は……っ」
嬉しそうに笑う阿部君の気配を感じたけど、脱力感にそれどころじゃなかった。
ますます強くなる揺さぶりに、がくがくと視界が揺れる。
「三橋、すげぇ、好きだ。三橋……」
荒い息の中、阿部君が言った。
ぐっと覆い被さってくる上体。力無く開いたままの唇に、ちゅっとキスが落とされる。
オレも好き。
すごく好き。
幸せ過ぎて胸が熱い。繋がったままの穴の奥から甘い痺れが広がって、中がきゅうっと締まるのが分かった。
はっ、と阿部君が息を吐く。
「んな煽んなって……」
ぼそりと囁かれた声は、なんていうか、壮絶に色っぽくてドキッとした。
何度彼に恋に落ちたらいいんだろう?
「……好き、だっ!」
たまんなくなって訴えると、阿部君はなんでかチッと舌打ちを1つした。
「だから……っ!」
叱るような口調とともに、ニヤッと笑みを向けられる。
煽ったつもりなんてなかったけど、煽った分の責任は、倍以上に払わされた。
(続く)
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