消失少女
子になり給うなるべき人なめり
沖田と近藤は客間に戻り改めて自己紹介をした後、話を進めた。
「女中…ですか?」
浅葱はきょとんとした顔で沖田を見た。
「居る場所がねェんならここで住み込みで働きやせんか?」
「いいん…ですか?こんな素性知らない私を…」
「ああ、総悟の言う通りだ。それに丁度うちは人手が足りなくてね。」
手伝ってくれないか?と近藤はニカッと笑った。
「…うーん…… 」
戸惑っている浅葱に無理をさせないよう沖田はできるだけ優しくいった。
「もちろん浅葱がいいなら、でさァ。強制はしやせん。」
でもそうは言いつつ沖田ももっと側にいたいと心から願っていた。
「じゃあ…しばらくお世話になります。精一杯頑張りますから。」
「こちらこそよろしくなっ!総悟、今日は浅葱ちゃんに屯所の中を案内してやれ。」
「へい!」
久しぶりに大きい声を出した気がすると沖田は思った。その証拠に近藤さんが驚いていた。
「あと、浅葱ちゃんの部屋も…「俺が教えやす!」
すっかり機嫌の良くなった沖田は自分の姉が来た時のように元気よく浅葱の手を引いて応接間から飛び出して行った。
「行ってきやす!」
「おう!………やっと、自分の鎧の紐を解くことができそうだな…。」
今は自分しかいない応接間で言った。
子になり給うべき人なめり
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