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消失少女
我朝ごと夕ごとに見ゆ


「浅葱ちゃん!急いで!屯所の朝は早いんだから!」

「は、はいっ!」





朝の調理場はまさに戦場。次々に来る隊士たちにご飯をよそい下げられた茶碗を洗う。1つでも遅くなれば後もつっかえてしまう。


「俺は大盛りー!」

「お茶お代わりくれー!」

「菊さん、醤油が切れちまったよ。」


慌ただしい中、さらに追い討ちをかけるように食堂から隊士の声がかかる

「はぁーい。ちょいとまっておくれ。」

「菊さん、マチさん!」

しかし、隊士の女中を呼ぶ声は止まない。


「はぁ…こちとらただですら人数が少ないんだから手加減して…」


「はぁーい、ただいま!!」


盆に醤油と布巾を乗せての浅葱が駆けて行った。


「おや、早いお仕事…」


横を見るとすでに現れた椀や皿が積まれていた。





朝ごはんの時間が終わり、浅葱は流しに皿を運び再び皿洗いを始めた。


菊こと菊江は「後は任せてください!」ということで浅葱に洗い物などを任せて先に食堂のテーブルでお茶を飲み一息ついていた。



「いやー、急にすみません菊さん。」

そこに近藤が浅葱の面倒を快く引き受けた菊江に礼を言いにやって来た。

「いいんだよ!ちょうど人が足んなかったとこだからね。ただ…。」

近藤は会釈の途中でピタリと止まったあと、恐る恐る顔を上げた。


「ただ?何か問題でも??」

「あの子…今まで何を見てきたのかねぇ……生活の知識がないんだよ。見てて危なっかしいったらなくて。」

はぁ…と溜息をつき菊江はお茶を口にした後にでもね、と言葉を続けた。

「なんだか楽しそうに見えるんだよ。ついこの間まで暗い顔してたのに今の方が生き生きしてるわ。」

仕事も覚えるのが早いしとっても良い子よ。と、厨房で見え隠れする浅葱を見て菊さんは微笑んだ。



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あきゅろす。
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