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消失少女
彼の娘はいずこ






「ここが真選組屯所でさァ。」

「ここがですか?大きいですね。」

「大人数で狭っくるしいけどねィ。」


大きな門をくぐると物珍しそうにあちこち見ていた。



記憶もないみたいだし俺の部屋に通すのも変な噂の元になるから客間に通して話を聞くことにした。

「くつろいでくだせェ。」

「あ、ありがとうございます。いただきます。」


女中に言って出したお茶を飲みこちらに向かって笑う姿はやはり時雨。


もう話が広がったのか襖の向こうから視線をいくつか感じた。



「そういえば名前聞いていやせんでしたねィ。」

「なまえ?」

「そう。名前でさァ…俺はここの1番隊隊長、沖田総悟。」

「…名前……浅葱…です。」


「じゃあ浅葱って呼びやす。」


名前が違ったこと、俺の名前にも反応がなかった様子を見て少し残念だと思った。

まるでまだ時雨がいると信じてるみたいに。


俺は一体何がしたいんだろうか。




「お、おい…押すなよ。」
「見えねーじゃねぇかよ。」
「おめーが前にいるからだよ…!」



流石に鬱陶しくなってきた。



「浅葱、あそこに綺麗な鳥がいやすぜィ。」

ちょっと掃除でもしようじゃねーか。


「え?どこに…」

「そのまま見てたらまた来やす。」


襖の奥にいる奴らは「いないだろ」などとどよめいているが問答無用ですぐバズーカを構えた。

「嫌な予感がしないか…」
「おい、隊長こっち見てないか?」
「前と同じデジャブを…」



時すでに遅し、だ。

「死ねぇぇえええ!」


ズガーーーン

「とても賑やかですね。羨ましいです。」

浅葱は和かに言った。吹き飛んだ隊士に目もくれず笑顔でいるところは俺でも少し驚いた。


「男ばっかで居心地は悪りぃけどねィ。」



ーーガラッ


襖から現れたのは近藤さんだった。


「総悟。悪いがちょっといいか?」

近藤さんが隊士の山を横目に気まずそうに言った。


近藤さんが俺に何が言いたいのかは大体わかったから何も言わずに近藤さんと一度部屋を出た。
















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