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18


*


ぬちゅっぬちゅ!ずぱんっずぱんずぱんっ!

激しく腰を打ちつけられ、私は這い上がってくる快感に頭が狂いそうになった。
いつもと違い、耐えることが出来ない。
私は人間の腰に足を巻きつけ、より深く射し込めるよう腰を浮かせた。
もっと、もっと欲しい。
性器が熱くなり、硬く立ち上がる。
また『イき』そうだ。
体から魂が離れていきそうな感覚が、私を襲う。
恐い、しかし、気持ちが良い。


「はぁっあぁぁっ…も、と…ぁぁっ…ーっ!!」
「はぁっ、またっイきそうか…っ?」


人間に聞かれ、私はコクコクと頷いた。
瞬間、人間の腰の動きが一段と激しくなる。


「なぁ、キッドって、呼べよ…っ!」
「ぅ、んっぁ、あ、…き、‥ど…っ!?」


なぜか私の中で人間の雄が大きくなった。
大きさの増したそれで激しく突き上げられる。


「くっ‥もっと!呼べっ!」
「ぁぁっき、っど…キッド、キッド―…っ!!」


もう訳が分からない。
ただ、熱くて、気持ち良くて…それだけだった。
逞しい体にしがみつき、何度も何度も体を重ねる。
結合した部分から恥ずかしいくらい濡れた音が響き、それに煽られ性器が熱を帯びる。
人間が中でイくと、熱い迸りを受けた快感で私もイった。
それを見て、なぜか人間は嬉しそうに笑った。
体をうつ伏せに返され、腰を持ち上げられる。
そのまま獣のような体勢で、ずっぷりと貫かれた。
人間の雄はまだまだ硬い。
ごりゅごりゅと壁を擦られ、ぞわりとした快感が襲う。
腰を振ると止められなかった。
これに何の意味があるのか分からない。
ただ、止められない意味は分かったような気がする。


体を横向きにされ、右足を抱えられた。
そのまま足を交差させるように、人間が挿入してくる。
深い挿入に、私は声もなく喘いだ。
ぎゅっと手を握られ、必死にそれを握り返す。
このままではこの人間と一つになってしまうのではないかと思った。


「お前の名前も、呼ばせろよ」
「ぁっあっあっ…ぁっ」


私の名前?なぜそんな事を知りたがるのだ。
人間の目は必死だった。
意味が分からない。
私は握った手をほどき、人間の首に回した。
赤い頭を抱き寄せる。
腰の動きがゆっくりになった。
気持ちが良い。
私は人間の頬を舐めた。
そして耳元で囁く。
人間が驚いたように目を見開いた。
それから激しく腰を突き動かされ、プツリと記憶が途絶えた。


酷く甘い声で、名を呼ばれたような気がした。




*




窓から射し込む朝日に、キッドは目を開いた。
ふと胸元に温かいものを感じ、視線を下げる。
そこには眩い銀髪があった。
深紅の角が二本生えている。
昨夜白かった肌は綺麗な褐色に戻っていた。
寒いのか、キッドに寄り添うようにして寝息を立てているそれに、キッドは薄く笑みを浮かべた。
しかし、それからの行動は速かった。
新しく用意させた手枷と足枷を眠っている青年にはめる。
冷たい金属の感触に青年は赤い目を開いた。
そしてキッドを見て思い切り顔をしかめる。


「よぉ、目が覚めたかヤクニ」


青年―…ヤクニは深紅の瞳を大きく見開いた。


「な、な、何で―…」
「お前が教えてくれただろうがよ、甘い声で。覚えてねぇのか?ヤクニ」


キッドが笑うと、ヤクニは耳まで赤くなった。
予想外の反応にキッドが首を傾げる。
ヤクニはキッと目をすがめた。


「にっ人間風情が軽々しく私の名を呼ぶなっ!!」


至近距離で頭突きされ、キッドはそれをもろに食らった。










キラーはキッドの背中の傷を見て、呆れたようなため息を吐いた。
セックスの最中ヤクニにつけられた引っ掻き傷だ。
船医が薬を塗ると、キッドは眉間にしわを刻んだ。


「…あれの手枷を外したのか」
「ヤクニだ」
「は…?」


まさか名前をつけたのかと訝しむキラーに、キッドは得意気に笑った。


「アイツの名前、言わせたんだよ」


ぐるぐると包帯を巻かれ、しかしキッドは嬉しそうだった。
理解できないキラーはただ首を傾げる。


「そうか、それは…良かったな?」


一体何が良かったのか全く不明だが、とりあえずそう言っておく。
キッドは上機嫌で立ち上がった。


「昨夜のアイツは素直で可愛かったぜー?今度お前も混ぜてやろうか」
「それは遠慮する」


即座に答えたキラーにキッドは声を上げて笑った。
酔っぱらいよりも厄介だ。
キラーは軽く頭痛を感じ、頭を押さえた。



医務室を出ると、船員達が騒いでいた。
どうやらまたヤクニが鎖を切って脱走したらしい。


「ったく、仕方ねぇな」


楽しげに駆け出すキッドを見て、仕方ないのはお前の方だとキラーは思った。

ヤクニの脱走劇はキッドの登場によって呆気なく終了した。
いくら鎖を切って逃げようとも、鉄を身に付けている時点でヤクニに勝ち目はないのだ。
床に強かに叩きつけられたヤクニは、忌々しげにキッドを見上げた。
しかし、それを見ていたキラーは違和感を覚えた。
その視線に殺気が感じられなかったからだ。


「テメーは少しもじっとしてられねぇんだな」
「貴様の思い通りになってたまるか」


キッドの力に対抗しようと身を捩るが、全く振りほどける気配はない。
そんなヤクニをキッドは軽々と持ち上げ、自室へと連れて行く。
その間もヤクニはジタバタと暴れた。


「この愚か者が!降ろさぬか!!」
「だぁぁ!耳元で怒鳴るんじゃねぇっ!」


ばたん、とドアが閉まる。
続いて聞こえてきた物が破壊されるような激しい音に、キラーは船医の元へ頭痛薬を貰いに行くことを決めた。




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