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17

噛みつくように唇を塞がれた。
熱い舌が入り込み、舌に絡む。
口の端から唾液が溢れ、目尻に涙がたまった。
熱い、頭が白む。
どこかに飛んでいってしまいそうな感覚に、私は人間にしがみついた。
しかし最早腕に力は入らず、だらりと垂れる。
倒れそうになる私を、人間が抱き寄せた。
背中に太く逞しい腕が回る。
その力強さに、私はなぜか安心した。


「ん、んっぅ‥ふ、ぅ」

くちゅくちゅと濡れた音。
頭の中に鼓動が響く。
気が遠くなりかけた時、ようやく人間は私を解放した。


「はぁ、はぁ‥こ、の、愚か、者…私は貴様の、ものでは‥ないわ」


濡れた唇も拭えず、しかし私は人間に言い返した。
人間が、ふっと笑う。
そして再び顔を近づけてきた。
唇が触れ合う直前の距離。
人間が低く囁いた。


「…関係ねぇよ」


私の意思が関係ないとはどういうことなのか。
問いただそうにも、私の言葉も呼吸も、人間に飲まれてしまった。




*




青年は頬を桃色に染め、荒く息を吐き出した。
濡れた茶色の眼差しに、キッドは体が熱を帯びるのを感じた。
白い肌の上をすべる黒髪が艶かしい。
キッドは青年の体をゆっくりと寝台の上に押し倒した。
毛布を剥ぎ取り、首筋に顔をうずめる。
青年は全く抵抗しなかった。
ただ、もどかしげにキッドの髪を撫でる。

ローションのボトルを取り出すと、青年が僅かに目を見開く。
しかし罵倒の言葉を吐きはしない。
キッドは青年のペニスにローションを垂らした。
冷たい感触に青年の体がビクビクと震える。
僅かに芯を持った青年のモノをキッドが上下に扱く。
青年は快感に耐えるように、歯を食い縛った。
ぬちゃぬちゃと粘着質な音が、青年の羞恥をさらに煽る。
キッドは青年の唇を舐めた。


「声、出せ」


手の動きを速める。
青年がグシャリとシーツを握りしめた。
キッドはローションを足して、もう片方の手を青年のアナに這わせた。
硬い指先にアナを撫でられ、青年の瞳からぽろりと涙が落ちる。


「ぁ、あ、あ…っ」


ズプ、とキッドの指が挿入される。
ローションの滑りを借りて、それはどんどん奥まで入ってきた。
桃色から赤く染まっていくアナにキッドは目の奥がカッと熱くなるのを感じた。
眩むような色気を放つ青年に、指を突き入れる。
それは徐々に本数を増やしていった。


「ぁっひ、ぃ、いやっ…ぁぁぁぁあっあぁぁっ!!」
「もっと、啼け、よっ」


はぁはぁ、とキッド息も荒くなる。
青年はペニスとアナの両方を攻められ、頭を左右に振り乱した。
長い黒髪がシーツの上に広がる。


「いゃ、嫌だ‥ぁっ!ぁぁあっ、こわ、…こわい…っ!」
「…っ!?」


青年の弱々しい泣き声に、キッドは思わず手を止めた。
今までどんな酷い攻め方をしても、こんな風に青年が泣くことはなかった。
セックスをしても、快感に浮かされたような顔をしながら、しかし青年が達することはなかった。
それが今は、勃起したペニスを震わせ泣いている。
過ぎる快感が恐怖に変わったのだろうか、青年は助けを求めるような目でキッドを見上げた。


「あ、か、体が、ばらばらになってしまう‥っ」


ぶるぶると震える青年に、キッドは優しく笑って見せた。
そんなキッドを見て、青年が目を見開く。


「大丈夫だ、恐くねぇ。何度もしただろ?」
「し、しかし‥いつもと違う…何か、出そう‥だ…」


ぬちゅ、ぬちゅ、とキッドの手の動きが再開する。


「いぁっ‥や、やめ、てくれ…ぁぁあっ!」
「出してみろ、平気だから、ほらっ!」


ペニスを扱く動きが激しくなる。
それと呼応するようにアナを抜き差しする指の動きも速くなった。
青年の体がビクン!と大きく跳ねる。


「ぁぁぁぁあっ……ーっ!!!」


白い精が飛ぶ。それは青年の腹をしとどに濡らした。
青年は焦点の定まらない瞳でキッドを見上げた。
力の抜けた唇から唾液が溢れる。
不快なはずの青臭い匂いが、キッドにはなぜか甘く思えた。
この青年はキッドの手によって、今初めて射精したのだ。
惚けた青年の頬を撫で、キッドは言った。


「今のがイくってことだ」
「イく…?」
「最高に気持ち良いとイくんだよ」


キッドは青年の腹についた精液を掬い上げた。
そしてそれを青年に見せる。
キッドの手についた白濁を見て、青年は驚いたように目を丸くした。


「わ、私が‥だ、したの‥か…?」
「そうだ。気持ち良かっただろ」


そう言って、キッドは長い時間青年に埋め込んでいた指を引き抜いた。


「んぁっ…!」
「良いか、これが―…」


キッドの熱く猛ったペニスが青年の濡れたアナに押し当てられる。
硬い尖端が、ツプ、と中に入っていく。
逃げ腰になる青年の細い腰を、キッドが掴んだ。
そして体重をかけて、ずぷぷ…と腰を押し進める。
青年は白い喉を晒し、喘いだ。
長大な逸物が全て挿入される。


「…セックス、だ」
「ぁ、んぅ‥せ、くす…?」


あどけなく聞き返す青年に、キッドはニッと歯を見せて笑った。


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