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蒲公英
新しい道

あれから何ヶ月か経った。季節は春の終わり頃、桜は散りかけてつくしが頭を出しはじめる。

「なにボーッとしてんだよ」
「あ?あぁ、もう春も終わるなぁって」
「まだ終わってねぇし。桜の季節が終わっただけだろ」
「まぁ、そうだけど」


あれから、俺達は仲良く暮らしてる。そういえば言ってなかったけど、春と同居することになった。おかげで毎晩…ゴホン。そんな訳で、コソコソと幸せに生きてる。


「蓮、髪に花びらついてる」
「え、マジで?」
「取ってやるから動くなよ」


そう言うと春はファイルを左手に持って二人の顔を隠し、そっと俺の唇に触れた。離れた時の目が、もっと欲しいと言ってるようで無意識に顔が赤くなってしまう。

てか、ここ会社!!


「ば、馬鹿野郎!!場所考えろ」
「大丈夫大丈夫。見えないから」
「…そういう問題じゃねーよ、馬鹿」


こんなことは案外しょっちゅうで、たまにトイレに連れ込まれたりもする。いつでもどこでも、春は発情できるらしい。


「なぁー蓮、もっとしよーぜ」
「しねぇよ!!盛るんじゃねぇ!!」
「俺、蓮が今すぐ欲しいよー」
「この年中発情魔め!!」


とかなんとか言いながらも、結局は負けてトイレに連れていかれる。









春と最初に出会ったのは、このくらいの時期だった。桜は散りかけていたけど、蒲公英がいろんな所に咲いていた。黄色くて可愛いな、と言った記憶がある。


月日が流れるのは早い。


今年もまた、蒲公英が咲いているみたいだ。





END



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あきゅろす。
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