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蒲公英


「じゃあ、なんで止めた?」
「…分かんねぇ、けど。お前を行かせたくなかった」


俺は何を考えてる?何を言ってるんだ?これが俺の本心なのか?

これじゃあまるで、俺が


「誤解するぞ」


俺が


「お前も俺を」


春が好きのような


「好きだって」


なら、この恥ずかしい感じはなんだ。顔が真っ赤になるような、血が激しく流れているような感覚。要するに、ドキドキしてる…多分。

好きだったら、こんな風になるのか?こんな感じ、知らない。今まで生きてきて、こんな風になったことなんてなかった。


「れ「振り向くな!!」


今後ろを向かれたら、可笑しくなってしまいそうだ。恥ずかしい。


「…振り返るなよ」
「分かった分かった」


両手を高くあげた春を視界に入れながら、服の端を持ったまま近付いた。身長は春の方がでかい。すこし背中を丸めて背中に頭を付けた。もし頭も熱くなってたらどうしよう。


「一回しか言わねぇから」
「おぅ」
「俺にだって、男のプライドがあるんだ。男に掘られたなんて、かなり屈辱的なんだよ」
「…ごめん」
「謝るなって。俺が言いたいのは…その、お前なら…春だから、別にいいかって思っだんだよ」


言葉が春の背中に吸い込まれていくような錯覚。クラクラするような甘い空気に酔いそうだ。


「多分…俺もお前が、好きだから…許せるんだと、思う」


恥ずかしすぎて死んでしまいそうになっていると、いきなり春の体が離れた。冷たい空気が顔に当たったのを感じるとすぐに、また温かくなった。気付くと、春に抱きしめられていた。


「…嬉しい」


へらっと笑った春の顔があまりに情けなくて、それでいて泣きそうで、俺も泣きそうになった。


今ならはっきり分かる。俺は春が好きだ。多分、生まれてはじめて本気で好きになったんだと思う。


「蓮、俺の恋人になって」


分かった、と言おうとした口を塞がれて、その行為がものすごく愛しく感じた。




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