京七小説 宴のあと その宴会は京楽のなじみだという料亭を貸し切って行われた。 八番隊主催の宴会はいつも七緒が幹事役だ。 会計や二次会の手配、酔いつぶれた隊士を併設された旅館に運ぶ手配などをすませて、京楽のもとに報告に行った。 周りから相当飲まされているはずなのに、京楽は軽く酔っているようにしか見えなかった。 「御苦労さま。あとは適当にやるから」 「はい、ではこれで失礼いたします」 「これから帰るの?」 「いえ、部屋が空いているそうなので一泊して帰ります」 「そう」 会話はそれだけだった。 遠くから聞こえていた宴会の騒ぎがいつの間にかやんでいる。 今聞こえるのは庭の鑓水のせせらぎの音と虫の声だけだ。 そういえば部屋の場所は聞かれなかったな。 旅館の一室で見慣れない天井を見ながら、七緒はぼんやりと考えた。 霊圧を探ればすぐにわかることだが、もし聞かれたとしたら、私はどうしただろう。 答えれば誘っているようだし、答えなければ要らぬ気をまわしているようだ。 今考えるべきはこれからのことだ。 もし戸をたたく音がしたら。どうしよう。 眠ったふりをして追い返す。 それとも。 [次へ#] [戻る] |