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今日も変わらず地球は回る
心境の変化


信じてみるのも、悪くないのかもしれない。



《心境の変化》



6月に入りました。仁王君の話では今月、県大会があるそうです。実は前回の委員会、仁王君は図書室を閉めるまでいてくれました。6月に入ったらかなり練習が厳しくなるらしく、出来るだけ部活を優先させたいから、ということで。

練習が厳しくなる…かぁ…大変なのかな…そういえば、景吾くん達も大会前はなかなか会う事はできないもんなぁ…今年は精市くんがまだ入院中だし…。

「…って、何考えてんの私!」

最近つい考えてしまうテニス部の事を、頭を振って打ち消す。今はそんな場合ではないんですよ、実は。

「ちょっと、話聞いてるの!?」
「ごめんなさい、聞いてませんでした」
「あ…あなたねぇ…!!」
「ふざけないでよ!ちょっとテニス部のレギュラーに構って貰ってるからっていい気になってんじゃないわよ!」
「別にいい気になんてなってないですよ?」
「と、とにかく、テニス部には近付かないでよね!!」
「そうは言われましても…ねぇ?」
「そうですね。蓬莱さんに非はありませんよ」
「や…っ柳生くん!?」

私が声を掛けたほうから現れたのは柳生君。多分これから部活なんだと思うけど、いいタイミングで通ってくれて良かったわ。

「こういうやり方はあまり感心しませんね」
「あ、あの」

さっきまで割と勢いのあった女の子たちは少し居心地悪そうに俯いた。

「前にも誰かに言いましたが、私をマネージャーにさせたくなければテニス部の方に直接言って下さい」

付き合ってられません、と呟いて私はその場から離れた。
柳生君も私の横に並んで歩く。

「災難でしたね」
「誰のせいでしょうね。ですが、ありがとうございます」
「いえいえ、あなたがこういう事態になるであろうことは予想されてましたからね」
「もしかして、見かけたら助けろと?」
「ええ」

多分、真田君の指示だろうけど。でも…

「有り難いことではありますが、こういうことにあなた方が口を挟むと余計に煽ることになりますよ。私は自分で対処出来ますから」
「でも」
「大丈夫ですよ…それより、着きましたよ、テニスコート」
「……」

少し気まずい雰囲気が漂った。

「……あの、私の方こそ、頭から断ってしまって…一度、練習を拝見してみようと思うのですが構いませんか?」
「それはもちろんですよ!」

柳生君は何だか嬉しそうに、部室に入っていった。
そんな反応されてもなぁ…なんだか複雑。

私は場所を移動した。すでにファンの子たちがフェンスを取り囲んでいて、なるべく見つからないようにと後ろの方から眺めた。

「こんな中で練習するんだ」

黄色い声援だらけの中、レギュラーの皆がコートに入った。いつものことなんだろうな…慣れた感じね。
以前、景吾くん達の練習を見たことがあったけど、やっぱり同じ状況だったなぁ。
正直、このコートの中にマネージャーとして入った日にゃ、妬みの視線で殺されそう。こんな中でマネージャーしてる蓮華って凄い。

「今日は練習試合をする。各自、コートに入れ」

真田君の指示に従って部員が各コートに散って試合を始めた。

「……」

去年の全国大会はもちろん見に行った。景吾くんに呼ばれてたし、精市くんにも呼ばれてたから。人が多かったから素の姿でこっそり見てたんだけど。

あの時よりも強くなった…?
練習試合だけど気が抜けてないし、精市くんのいない穴をカバーしようとしてるのがすごく伝わってくる。
今のところ、いろんな雑用は1年生の担当みたいだけれど、彼らの練習時間が削られてしまっていることになるんだよね。それってやっぱり勿体ない気がする。

「私で…役に立つのかな…」

彼らを見ているうちに、胸が、少しドキドキした。



(少しだけ、前に進めるかもしれない)
(07・05・01)


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あきゅろす。
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