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今日も変わらず地球は回る
:4



翌日の午後、彩音は日本に戻る為空港にいた。
見送りの祖母や、まだこちらに滞在する両親との別れを惜しみ、同じく見送りに来ていたジュリオに向き合う。

『ジュリオ、またね』
『彩音…大丈夫?』
『うん』

ニコッと笑ったその笑顔は、ジュリオから見れば無理をしているようにしか見えない。
ジュリオは彩音を抱きしめて、そっと髪を梳いた。

『これが最後だ彩音。本当に、いいんだね?』
『ええ』

体を離し、ジュリオを真っ直ぐ見つめる彩音の瞳は、確かにもう覚悟を決めていた。
ジュリオはその瞳に思わず吸い込まれそうになる。
自分と同じエメラルドグリーンの瞳だが、この大きな組織を背負う覚悟を決めた日と同じく強い意志が篭っている。
この瞳も、ジュリオは好きなのだ。

『気をつけて』
『ありがとう』

ジュリオが彩音の手の甲に口づけ、お返しにハグと頬へのキスを贈り別れると、彼女はゲートへと足を向けた。



搭乗口の前の待合室で行き交う飛行機を見つめていた彩音は、鞄から携帯を取り出した。
アドレス帳から名前を呼び出しメールを送る。
その表情はどこか真剣で、そして切なげであった。

メールの返事は来ないまま、飛行機は空港を飛び立った。
窓の外を眺める気もなく、心地良いシートに身を沈めると、彩音の脳裏に浮かぶのはただ一人。

「雅治…早く会いたい…」

思い浮かべるだけで温かな気持ちになるのは以前と変わらない。
けれど、同じくらい切なさも溢れてきて、涙が彩音の瞳を濡らした。
本当は大丈夫などではないのだ。胸が苦しくて仕方ない。これから自分が起こす行動が、どれほど皆に影響を与えるかと思うと――。

「もう少しだけ、傍にいさせて…」

脳裏に浮かぶ仁王は、優しく微笑んでいた。



「ふぅ…やっぱり空気が違うなぁ」

飛行機を降り携帯を開くと、発つ前に送ったメールの返事が届いていた。
それを確認した後荷物を取り税関を抜けると、その相手が彩音を出迎えた。

「おかえり、彩音」
「ただいま、景吾くん」

彩音のメールの相手は跡部だった。
ふわりと微笑んだ彩音の笑顔に違和感を感じたが、跡部は何も言わず乗ってきた車へとエスコートした。



(091024)

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あきゅろす。
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